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ここ10年で大学生の英語力は向上した?悪化した?TOEICスコアから読み解く

 

約10年前、筆者は大学生でした。正直、英語学習にまったく興味がありませんでした。ほんの僅かに英語の読み書きができるのみ。

 

あくまで感覚なのですが、筆者世代の10年前の大学生は全体的に現在の大学生と比べるとさほど積極的に英語学習に取り組んでいなかったのではないかと思います。

 

実際のところはどうなのか数値で見ていきたいと思います。

 

10年前の国立大学中上位層の学生のスコアは?

 

 

千葉大学におけるTOEIC IPスコアの包括的分析」によると2003年〜2007年までの5年間6689名の千葉大学の学生が参加したTOEIC IPテストのスコア平均は505点となっています。

 

企業が新卒の新入社員に期待するスコア565点(※2013年「上場企業における英語活用実態調査」報告書IIBCまとめ)というデータがあります。10年前までは国立大学の中上位層の学生ですら現在の企業の求めるTOEICスコアを有していなかったとわかります。

 

平均的な大学生のTOEICスコアが千葉大学生をさらに下回っていたことは容易に推測できます。10年前の段階では、高い英語力を有することは学生にさほど求められていなかったことなのかもしれません。

 

2010年を境に学生のTOEICスコアの上昇が顕著に

 

しかしながら2010年ごろを境に学生のTOEICスコアが上昇したことを示唆するデータを発見しました。データは大学卒業後、企業に入社直後の新入社員のTOEIC IPテストの平均スコア(4月1日〜5月31日に実施)の年度比較です。

 

◆新入社員のIPテストの平均スコア◇

2008年448点

2009年450点

2010年477点

2011年484点

2012年499点

2013年505点

2014年500点

2015年494点

2016年497点

2017年485点

 

2010年前後でスコアが上昇していることが伺えます。

 

※データは一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション教会発刊の新入社員 TOEIC L&R 最新データ 2017年度TOEIC Newsletter 2015年7月TOEIC Newsletter 2012年7月より

 

2010年ーグローバル人材論が沸く、楽天社内英語公用語化を表明

 

2010年前後というのは産官学で盛んにグローバル人材育成に関する議論が沸騰した時期です。

 

2010年9月7日閣議決定の「新成長戦略実現会議の開催について」に基づき、「グローバル人材育成推進会議」が開催されました。

海外留学の拡大などで国の成長を支えるグローバル人材の育成と人材活用の仕組みの構築を目指します。

 

さらに、2010年、楽天が社内英語公用語化を打ち出したことも記憶に新しいところです。楽天の社内英語公用語化の根拠は以下です。

 

  1. 世界での一体感のある経営体制の構築
  2. 世界を相手に戦い抜くための競争力
  3. 国内外のグループ社員間の円滑な情報共有
  4. 世界中の優秀で多様な人材の積極的な採用等

 

産官学でグローバル人材論の議論が沸騰、社内英語公用語化などの話題の高まりに伴い「英語の勉強は必要だ」というムードが醸成。学生の英語学習への積極性が増したとも考えられるのではないでしょうか。

 

実際、業務で英語を利用する機会は多い

 

※「2013年上場企業における英語活用実態調査」報告書より引用

 

一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション教会がまとめた「2013年上場企業における英語活用実態調査」報告書によると合計75%以上の企業が英語を使用する機会があると回答しています。

(内訳「業務で英語を使用する部署部門がある」45.7%「特定部署・部門はないが英語使用はある」29.3%)

 

※「2013年「上場企業における英語活用実態調査」報告書より引用

 

68.6%の企業が国際部門の業務遂行の際に指標としてTOEICスコア700点以上を期待していることが判明しています。

 

これら英語力が求められるようになったのは言うまでもなく日系企業の海外販売拠点の設立など企業活動がグローバル化した帰結といえるでしょう。企業は採用時から英語を使用できる人材の獲得に意欲的になっています。

 

約7割の企業が採用時にTOEICスコアを参考にしている

 

※「2013年「上場企業における英語活用実態調査」報告書より引用

 

スコアを参考にしている企業

「参考にしている」27.6%

「参考にすることがある」41.7%

合計69.3%以上の企業がTOEICスコア=英語力を参考にしていると回答しています。

 

このようにTOEICを採用基準にしている企業が非常に多いのです。

 

実際、以下のようにTOEICを採用基準として掲げている企業も存在します。

 

TOEIC800点以上 楽天

TOEIC750点以上 三菱自動車

TOEIC730点以上 武田薬品工業、日産、ユニリーバ

TOEIC700点以上 ファースリテイング、三菱電機、マツダ

TOEIC600点以上 日本IBM、全日本空輸

TOEIC500点以上 日立製作所、パナソニック(ソフトウェア設計)

 

グローバル化の進展も大学生の英語学習に影響

 

10年前と比べて現在の大学生が英語を学習するのはより当たり前のものとなっているように思えます。その要因は企業の業務に英語が求められるようになったこと、就活に必要だからという理由だけにとどまりません。

 

10年前の大学生に比べ、現在の大学生の生活環境そのものがよりグローバルなものになっています。スカイプやFacebookなど世界のだれとでもすぐにつながり会話できる環境が整っているです。

 

グローバルな環境で生きるためにコミュニケーションツールである英語を習得することは大学生にとって、より当たり前のこととなりつつあるのではないでしょうか。

 

 - 英語教育に関するデータ

執筆者

森本進也

森本進也

ライター・英日翻訳家
大阪府立大学人間社会学部卒

第二言語習得論、科学、IT、ビジネス、キャリアをテーマに執筆しています。

連絡先:yanshi7654321@gmail.com