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前回は、アジアで就職活動を行い、タイで就職を決めたところまで書いて頂きました。今回は、タイで実際に生活についてMasahiroさんに寄稿していただきました。

第一回 ベルリンで育った幼少期から海外移住を決めるまで

第二回 アジアでの就職活動

タイでの生活

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この文章を書いた前の週(2015年8月17日)にバンコクで爆弾テロが発生。繁華街での事件だったため、多くの死傷者があり、日本人も巻き込まれました。犯人がまだ逮捕されていないという点は不安ですが、幸い私の生活圏からは外れた場所だったため、実質的には何の影響も受けませんでした。日本でも大きく報道されたらしく、たくさんの方から安否確認の連絡をいただけて、とてもありがたかったです。

そんな事件があったばかりなので、ここでバンコクの魅力を書いても上手く伝えられるか自信がないのですが、地下鉄サリン事件(今回のバンコクのテロよりよほど凶悪)があっても東京が便利で住みやすいことに変わりないのと同様、政治的に不安定な面はありますが、バンコクも基本的に便利で暮らしやすい都市です。

東南アジアを実際に訪れたことがない人にとっては、タイもフィリピンもベトナムもマレーシアも同じ「途上国」という括りでイメージを持っているケースが多いようです。私も数年前までそうでしたが、実際に足を運んでみると、大きな違いがあることがハッキリわかります。特にバンコクは「途上国」というイメージのままで訪れるとびっくりします。ピカピカのスワンナプーム空港から市中までのアクセスも良く、高架鉄道のBTSや地下鉄MRTが整備され、高級ショッピングセンターや高層のコンドミニアムがそこここにあります。

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セブンイレブンやファミリーマートのようなコンビニもたくさん。一方で、何処にでも安価な屋台が並び、金ピカやオレンジの派手な寺院も多く、王族の写真や肖像画が建物の入り口や店内に掲げられています。そしてマッサージ屋さんや歓楽街が異常に多いです。橙の僧衣を纏った僧侶が托鉢して回る姿や、迷彩服を着た軍人を日常的に見かけ、欧米人やインド人、他のアジアからの旅行者や就業者が溢れています。インフラが十分に整っている上、独特の文化や国際色も持っているので、タイに魅了される人が多いのも暮らし始めてみて納得できました。

また、バンコクには日本人(居住者/旅行者とも)が多く、非常に親日的な国です。日本食店や日本の商品を中心に扱うスーパーもあるので、その気になれば日本とほとんど変わらない生活もできます。一年を通して暖かく、花粉症もないため、人によってはバンコクの方がよほど住みやすいかもしれません。

物価は全体的には安いです。ローカルのフードコートなら一食50B〜70B(180〜250円くらい)でちゃんとしたメニーが食べられます。食事は、辛いメニューや香草を使ったメニューが多いため、相性が悪いとつらいかもしれませんが、主食は米で料理の種類も豊富なので何かしら好みに合うものは見つけられると思います。タクシーは初乗り35B(122円くらい)。私の住んで居るコンドミニアムも家賃が12,000B(42,000円程度)で家具/プール/Wifi付き、一階にコンビニとクリーニング店もあって便利です。月々の通信料もiPhoneとiPadのSIM利用が合わせて1000B(3,500円くらい)程度なので、その気になればかなり節約できます。一方、日本食にこだわると大抵日本より高くつきますし、外国人や富裕層向けの商品/サービスが割高なのはフィリピンや他の国と同様なので、ローカルの生活スタイルから乖離するほど支出が増えていく感じです。

もちろん、東京と比較すると不便な点は色々あります。何より日本語が通じないし、英語も街中ではほとんど通じないし、東京のようにAmazonに注文したら何でもすぐ届くわけではないし、タクシーで値段交渉するのは面倒くさいし、水道水は飲めません。細かい点をあげたらきりがありません。そういった点がいちいち気になってしまう人には暮らすのは難しいかもしれません。

それでも、実際に暮らし始めて半年経過しての印象は、総合的にかなり良いです。私の場合は生活面より仕事の内容や待遇でタイを選んだので、生活面での不便はある程度覚悟してきていましたが、そんなに構えなくても大丈夫だったな、という感想です。後述するようにいつまでバンコクにいるかは正直わからないのですが、将来たとえばリタイアした後に住む場所としても、十分候補にあげられる場所だと思っています。

タイでの仕事について

残念ながら、今の会社はセキュリティを非常に重要視しているため、業務についてはあまり具体的なことを書けませんが、内容的にはIT企業で製造業システム保守のような業務を担当しています。東京で働いていた時よりも環境はずっと良いです。まず、残業が少ないです。日本のIT系の会社は長時間の残業が慢性化しているケースが多いと思いますが、タイ人スタッフは定時になったらすぐに帰るのが普通ですし、日本人でも日本のように働く人はまずいません(※他の会社のことはよく知りません)。家も交通の便の良い場所(BTS駅付近)で簡単に見つけられるため、通勤も便利です。当然スタッフの比率はタイ人の方がずっと多いですが、よく喋って笑う人が多いので職場の雰囲気も明るいです。

日系企業で社内公用語は英語。社内連絡等は英語のメールで来ますし、他チームとのミーティングも英語です。ただ、私の所属部署の業務は日本語と英語が両方必要な内容なので、チームメンバーも日本語のできる人が雇われています。英語より日本語が得意なメンバーなので、チームメンバーだけの時は日本語で話しており、現地企業の中でも少し特殊かもしれません。私の仕事はコンサルでも営業でもないため、英語で誰かを説得したり、プレゼンしたりという機会は基本的にありません。また業務内容もそんなにクリエイティブなものではなく、ルーティーンも多いので、そこまで高度な英語が求められることはありません。もちろん当初は色々と戸惑いましたが、業務中て使用する表現や語彙が限定的なので、数ヶ月で適応できたと思っています。

もし機会があったとしても、いきなり英語だけの外資に行くのは厳しかったろうと今でも思います。それと比べれば、アジアの日本企業に勤めるのは、周囲もネイティヴではなく、いざとなれば日本人もいるので、英語での業務経験を積むには悪くない選択肢だと感じています。

同僚のタイ人達にも恵まれています。確かに、一部すぐにやめてしまう人(入社後3日で連絡がとれなくなった人がいました…)や、病欠(タイには法律で有休とは別に”Sick Leave”が30日あります)を多用する人、業務の手順に疑問を感じる場面等もありますが、大抵の場合、日本人よりも英語は堪能ですし、びっくりするくらい優秀な人もいます。20代前半なのにネットワークの専門家でトリリンガル(タイ語/英語/日本語)の同僚が、日本語でシステムのマニュアルやメールをスラスラ書いているのを見てとても驚きました。また、話していて文化の違いを感じられる場面もあって興味深いです。たとえば、以前チームメンバーが10日ほど”Monkhood Leave”を取得しました。タイ人の男性は一生に一度は出家しないと一人前として扱われないそうで、丁度良いタイミング(何がどう丁度良いのか少し聞いただけでは分かりませんでしたが…)なので寺に行ってきたいと行って休暇取得。休暇明けに坊主頭で出勤してきました。

今後について

今のバンコクでの暮らしは割と気に入っています。日本にいた頃の働き方はとてもこの先何十年も続けられるものではありませんでしたが、今はその点が解決しています。バンコクから少し離れればまだまだ観光したい所がたくさんありますし、食文化や人との相性も悪くないと感じています。読書が好きなので、何年か前までは「海外は好きでも日本語の書籍の入手が難しい場所には長期で暮らせない」と思っていましたが、今はKindle本がかなり充実してきたので、その点で困ることはほとんどなくなりました。

ただ、私はタイのことは好きでも、この国に強い執着があるわけではないですし、他の国に行ってみたい気持ちもあるので、良い話があれば他の国に行く可能性もあります。また、今の会社にそのまま所属していても他の国の支社や関連会社に転属になる可能性があります(早い人は1年後くらいに他国に転勤になることもあるそうです)。日本に帰る必要性が出てくる可能性もあります。両親は既にだいぶ高齢なので、もし介護の必要性等が出て来れば、ずっと海外にいるわけにはいかなくなるかもしれませんし、だから制約のない今の内に海外に行ってみたかったというのもあります。

そんな次第で、今のバンコクでの生活がいつまで続くか、続けられるかは正直わからない状況です。それでも、働きやすい環境に移ることができ、英語での業務経験を積む機会が得られ、日本とは異なる色々な事物を目にして体験することができて、苦労してやってきた甲斐は十分にあったと思っています。

タイにはサウスピーク在学中に一緒だった方も何人か就業していらっしゃるので、一緒に観光するのも楽しいですし、次の転機までは、いま得られるものをしっかり得て、この生活を楽しんでいきたいなと思っています。

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