再現性のある学習方法で学ぶ

「その話を裏付ける根拠はなんですか?」「エビデンスはありますか?」という考え方が急速にウェブ上で急速に広まりつつ有ります。

同じように、現在は英語学習の分野においても「エビデンス」に沿った学習が行われているのかが注目されています。エビデンスに基づいた、『効果があることが学術的に確認されている学習方法で英語を勉強していこう』という考え方が主流になってきています。これを簡単に言い換えると、「私はこうやって英語が出来るようになりました」という『個人の体験談』ではなく、「他の多くの人でも英語ができるようになりました」という「再現性のある学習法」を重視していきましょう、という潮流です。

この考え方・学習法を支える根拠になっているのはSLA (Second Language Acquisition)、『第2言語習得』の分野です。

SLAにおいては様々な学説がありますが、英語学習者にとって最も有益なものは、「こういう風に学べば確実に英語は出来るようになる」という学習法を提示してくれている点です。

たくさんのインプットと少しのアウトプット

SLA(第2言語習得)で提示されている、最も基本的な学習方法は『大量のインプットと少しのアウトプット』※というものです。※白井恭弘. (2012). 英語教師のための第二言語習得論入門

このインプットに関して補足すると、「赤ちゃんが言語を学ぶように、とにかく英語を聞き続けろ」というものではなく、「話されている英文内容が理解出来る状態になった上で、自らの中に英文を定着させるために、英語を聴き続ける」というものです。

そして、本記事では『大量のインプットと少しのアウトプット』の『大量のインプット』に関して、私(@HAL_J)が2017年に試行錯誤して辿り着いた、効率的かつ効果的な学習方法を紹介していきます。

まずは英文法の学習を終わらせる


まずは英文法の学習です。

「大量のインプット」の学習である「英文読解」「リスニング」の学習をしようにも英文法が理解できなければ、その先に学習を進めることはできません。まずは高校で学ぶ英文法までの学習を終わらせましょう。

高校英文法までを終了させていれば、例えば下記のようなニュース英語で登場する英文も特に問題なく読むことが出来ます。

Nissan to Recall Over 1.2 Mil. Cars
Nissan Motors plans to recall more than 1.2 million vehicles that underwent pre-shipment inspections by unqualified staff at all of its domestic plants.

基本的に高校までで学ぶ英文法の知識があれば、ほとんど全ての英文を読んで理解することが出来ます。

高校英文法までの習得に関しての詳細は下記の記事内容を参照下さい。

TOEIC300点レベルからの脱出法!(中学英語からの再スタート)

TOEIC500点レベルを徹底分析(初心者が日本人受験者の平均水準TOEIC500点を目指す)

【補足】中学・高校の英文法を学び直す方へ

これから紹介する「大量のインプット学習」を行うことは英文法の学び直しにおいても有効です。そのため基礎固めが必要な方も引き続き本記事を読み進めて、『大量のインプット学習をどうやって行うのか』を知って下さい。

大量のインプット学習

1つ1つの英文の意味を理解出来るようになったら、次に行うのは「大量のインプット学習」です。ここでいう「大量のインプット学習」とは「英文読解」と「リスニング」での学習を指しています。

「大量」とはどれくらいの学習量を指すかというと、目安として1英文あたり、初中級者は「40回のリスニング」と「20回の音読」の反復学習を行うことです。ここまで同じ英文を反復学習した経験がある人は、日本の学校教育でしか学んだことをない人達だとほとんどいません。1つの英文を自分のものにするためには、これくらいの反復学習は必須です。

例えば、上記で紹介した日産のリコール問題の英文でさえも、この大量のインプット学習を行えば、英文を丸暗記して、暗唱出来るようになります。

日本人の大多数が英語を苦手としているのは、結局この「大量のインプット(リスニング40回+音読20回)」を行っていないからです。逆に英語を第2言語として問題なく使いこなしている人たちは、この「大量のインプット」を行ってきた人たちです。

秘訣1 音源分割×スローリスニング

ではこの「大量のインプット学習」をどのようにすれば良いのかをこれから紹介していきます。学習の秘訣は2つ有ります。

秘訣1 音源分割(英文を1英文単位に分割する)×スローリスニング


これは私がリスニング学習を行う際に使っているアプリ、Audipoのスクリーンショットです。(Audipo iOS, Androidの両方に有ります)

ここで聞いている音源はTOEIC Listening試験のPart3の英文で1分半近くあるものです。このオーディオトラックでは4秒から8秒単位でリスニング音源を分割しています。かつ、聞く必要のない箇所(冒頭のDirectionと後半の質問)は全く聞かないようにしています。こうすることで、聞くべき箇所だけを集中して繰り返し聞くことが出来ます。このようにAudipoを使って、リスニング学習の効率を上げています。

そして、Audipoを使用することで聴くべき箇所だけを聴けるようになって学習効率が上がっただけではありません。1つの英文だけを繰り返し、20回から40回聞くことで、英文を暗唱することがはるかに簡単になりました。

これまでは1分近くのリスニング音源を繰り返し聴いていましたが、これでは英文を効率よく暗唱することは出来ませんでした。けれど、1英文単位にすると暗唱はずっとずっと簡単になりました。

例えば、5秒間で聴ける1英文があれば、2分あれば24回もリスニングをすることが出来ます(上記の写真の赤丸部分で約5秒です)。「覚えるべき英文を連続して20回聴く」という学習法をやってみれば分かりますが、学習の密度が非常に濃いです。頭の中が英語漬けになります。そして、24回も聞いていれば(+シャドーイングもすれば)、たいていの英文は暗唱出来るようになります。

1英文単位でのリスニング学習は極めて学習効率が高く、この学習法を導入したことで、私は英文を定着させる時間を半分以下に一気に縮めることが出来ました。

さらにもう1点追加Tips。リスニングの再生速度を落とせば、より聞き取りやすく、かつシャドーイングをしやすくなります。

この写真の音源では私は0.85倍※にして音源を聴いています。写真右下の赤丸箇所で再生速度を調整できます。再生速度を落とすことでシャドーイングがやりやすくなります。※語学学校サウスピークではこの学習法を「スローリスニング」と名付けています。

「リスニング音源分割×スローリスニング」の組み合わせで学習を行えば、「大量のインプット学習」を非常に効果的に行うことが出来ます。

【補足】「大量のインプット」はどこまでやればいいのでしょうか。

⇒【回答】リスニングを一定回数終えた段階で、その英文を『暗唱』出来れば終了です。次の英文に取り掛かりましょう。

そして、1週間から2週間後に再度同じ方法で2回目の復習学習を行えば、「大量のインプット」で必要となる「リスニング40回+音読20回」の回数を終えることが出来ます。

秘訣2 歩きながら、二宮金次郎のように学ぶ

「リスニング音源分割×スローリスニング」の学習方法を導入していたら、私は「歩きながら英語学習をする」ことが出来るようになったことに気付きました。これで歩いている時間を勉強時間にすることが出来、1日2時間程度であれば気軽に英語学習が出来るようになりました。

以下、「歩きながら英語学習を行う」具体的な手順です。

手順1 (準備段階)教材を持ち歩きしやすいように解体する。もしくはそもそも片手で持てる教材を選ぶようにする


写真左と写真中央は解体された英語教材です。特にTOEIC LR試験の公式本は大きいので、解体するのがおすすめです。また、写真右は片手で持ちやすい大きさのNHK教材「ニュースで英会話」です。

右手にスマートフォン、左手に解体した教材、というのが歩きながら勉強する際のスタイルです。

手順2 (準備段階)使用する教材を精読する。不明な英単語について調べて、品詞分解を行う。

事前に英文を精読して、不明な英単語について調べておきましょう。歩きながらだとこれらの作業は出来ませんので。


写真はニュースで英会話の参考書に書き込んだものです。「品詞分解の書き込み」と「不明な英単語の意味」についての注釈を加えています。

手順3 歩きながら1つ1つの英文単位で「(秘訣1)リスニング音源分割×スローリスニング」を行う。

※【重要】精読・品詞分解していない英文でリスニング学習を行った場合、効果は半減するため、必ず「手順2」までを終えてから「手順3」に着手下さい。

二宮金次郎のように歩きながらのリスニング学習を行えば、だいたい50mから100m単位で1つの英文についての「大量のインプット学習」を終えることが出来ます。

そして、通勤・通学している人であれば、1日で1時間から2時間は歩いているので、その全ての時間を勉強時間に充てることが出来ます。

このように、移動時間に「1.1時間」のリスニング時間を簡単に確保することができます。

スマートフォンの画面を見なくてもAudioは使えるので、実際は石像の二宮金次郎のように書籍やスマホとにらめっこする必要はありません。

新宿で参考書や透明なクリアケースを片手に歩き、時々立ち止まって内容を確認している男性がいたら、十中八九、私だと思います。

学習手順は以上になります。

あと、当然ですけど、周りに注意しながらこの学習を行って下さい。また、日本以外の国だと治安の問題から、二宮金次郎のように学習を出来ない国の方が多いです。この歩きながら学習法は時と場合を選んで行って下さい。

そして、冬場だと寒いです。東京だと指ぬきの手袋を使えば、ギリギリ参考書を片手で扱えます。

学習時間の目安 座学1時間+リスニング2時間

ここまで述べた英語学習法を実践すれば、1日2時間のリスニング学習は働きながらでも十分に行うことが出来ます。英語学習を頑張りたい方は下記の時間を目安に学習を行って下さい。

座学1時間(手順2 英文の精読・品詞分解) + リスニング2時間(手順3 リスニング音源分割×スローリスニング)

これで1日3時間の英語学習が出来ます。この学習時間は働きながらでも十分に達成出来るものです。継続させて1年間で1,000時間以上の英語学習を行って下さい。

1,000時間の英語学習を行うと、TOEIC LR試験であれば、200点から300点上げることが出来ます。

◆(参考)TOEIC LR試験の点数を上げるために必要な勉強時間

英語は短期間ですぐに出来るようになるというものではないので、習慣化させて、日々の学習に取り込んで下さい。本記事で紹介した学習法は基本的に隙間時間で行えるものです。本記事を参考に、歩いている時間、あるいはちょっとした待ち時間を勉強時間に変えてください。半年もこの二宮金次郎を続ければ、知っている英単語・英語表現の数が飛躍的に増えます。

暗唱が英会話・英作文能力を高める

この「大量のインプット学習」を行い、たくさんの英文を「暗唱」したならば、英会話と英作文が出来るようになるための基礎力が身につきます。「大量のインプット」の後に行う「少量のアウトプット」学習で最初に行うことは、実はこの「暗唱」ですので。

1分以上のオーディオファイルをずっと聴き続けていれば、たしかにリスニング能力は上がります。けれど、英会話・英作文能力はほとんど上がりません。TOEIC LR試験のListening Partで満点(495点)を取っても英会話が苦手な人が具体例です。

意識的に英文を暗唱している人だけが英会話・英作文が出来るようになります。英会話・英作文能力を向上させる最短の近道は1英文単位の暗唱を繰り返すことです。

この「暗唱」を前提とした「少しのアウトプット」の学習法については後日別記事でまとめるようにします。

サウスピーク・フィリピン留学説明会

上記の学習方法を実践する語学学校サウスピークの無料説明会を東京・大阪で開催しています。興味の有る方の参加をお待ちしています。