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第二言語習得論 英語学習

「聞くだけで英語が身につく」ってホント!?科学的に見たその効果とは(SLA)

ーー英語が苦手だった私が、なぜ話せるようになったのか?それは、”聞き流す”のをやめなかったんです。

こんなセリフ、どこかで聞いたことありません?

お気づきかと思いますが、こちらは「聞くだけで話せる」系教材の宣伝文句。ネットやテレビで某プロゴルファーが言っていました。

聞き流すだけで本当に話せるようになるのか?今回は第二言語習得論(Second Language Acquisition(以下:SLA))の観点から考えます。

率直に申しますと、聞くだけでは話せるようになりません。その理由を以下3点にまとめました。

・意味が分からないものを聞いても効果がないから

・インプットとは聞くだけではなく、また読むことであるから

・発音が分からないまま聞いても、身につきにくいから

具体例を含めて、できるだけ分かりやすく説明します。

意味が分からないものを聞いても効果がない

「英語が話せるようになるには、話す練習をしなければ駄目だ」という人がいます。その問いに反するかのように、聞くだけで英語が話せるとしたのがこの手の英語教材です。

しかしSLAの観点から言えばどちらも同じです。話すことや聞くことを繰り返しても、単語や文法などの新しい知識が入ってくる訳ではありません。話すことも聞くことも、すでに持っている知識で何をするか、というだけの話。ですので単語や文法の知識を十分に蓄えておく必要があります。

つまり意味が分からないものを聞き続けたところで、効果は出ないということです。このことを言語学者のクラシェンは「理解可能なインプット(comprehensible Imput)が言語習得の必須条件」と言いました。

SLAの観点からすれば、聞くことは音の流れに意味や構造を瞬時に結びつける、という非常に困難な作業です。そのため意味を理解した上で英語を聞かなければ、聞き流しても意味がありません。

このことから、「聞き流すだけの英語学習をする以前に、単語と文法知識を十分に身につけておく必要がある。」と言えます。

インプットとは聞くだけではなく、また読むことであるから

SLAではそもそもインプットを”聞くことに加え、読むことである”と定義づけています。これは聞き取りだけだと、インプットとして不十分だからです。

というのも聞き取りは単語自体に注意が行きがちで、文法項目の処理がおろそかになる傾向にあります。文法への理解がおろそかになるインプットを「インプット仮説の落とし穴」といいます。具体的に示せば、

・Yesterday I walked three miles.

という文章を聞いたとします。この場合、文頭のYesterdayさえ聞き取れれば、walkedの-edが聞き取れなくても、過去を表した文章だと認識できますね。このように文法項目(-ed)が聞き取れなくても、単語(yesterday)さえ聞き取れていれば大体の意味がわかります。つまり細かいところまで注意がいきません。

このことから、「聞き流すだけの英語学習に加えて、英文を読む必要がある。」と言えます。聞き取りだけでは不十分。英文を読むというインプットを加えて、初めて英語を話すための土台が完成するのです。

発音が分からないまま聞いても、身につきにくいから

この手の教材では、発音矯正ができる具体的な術がありません。以下は「聞くだけで話せる」系教材の公式サイトから引用したものです。

例えば「ゲッ、イッ?」と聞こえたとします。そんな英単語あったかな?と確認すると「Get it」でした。
このように、英語は子音が脱落して聞こえないことが多く、「ゲット イット?」と発音するアメリカ人はいません。

耳で聞いたままの音を右脳にインプットし、そのとおりに発音する。
これがきれいな英語を話す秘訣です。
『教材名○○』の利用者が、きれいな発音で話せるようになる理由は、
ネイティブの発音を聞こえたままインプットしているからです。

(「聞くだけで話せる」系教材の公式サイトから引用)

「聞くだけで話せる」系教材の場合は、上記のように1つ1つ、その場面で出会った発音を習得することになります。しかしこの方法は非効率であり、必ずモレが生まれます。

また前述の「ゲット イット」から「ゲッ、イッ」のように、明らかに違って聞こえる場合は、発音矯正が可能です。しかし日本人には同じように聞こえるけれど、ネイティブが区別して発音している音も多く存在します。

例えば、RとLの発音。日本人は両者とも「ら」として発音しますが、英語だと区別されます。

・Could I take a bowl of rice(白ご飯いただけますか?)

と言うべきところを

・Could I take a bowl of lice

と発音すれば、「シラミをいただけますか?」と申し出ることになります。

他には母音の「あ」は英語だと4種類に分けられます。聞き流すだけで、この違いに気づくことができるでしょうか?

フィリピン留学・サウスピークのレッスン風景より。

正しい発音を身につけるには、口の形、舌の位置、息の吐き出し方を学ぶ必要があります。

このことから、「聞き流すだけの英語学習をする以前に、発音矯正レッスンを通して、正しい発音を身につける必要がある」と言えます。音の違いが認識できるようになるので、発音から生まれる勘違いを防ぐことができるでしょう。

参考:東京でも。フィリピン人トレーナーによる発音矯正レッスン

   英語発音矯正レッスン。フィリピン語学留学で最も効果的なレッスン

「簡単に英語力を上げられる」幻想をみせた聞くだけ教材

要点をまとめると、以下の通り。

・聞き流すだけの英語学習をする以前に、単語と文法知識を十分に身につけておく必要がある。

聞き流すだけの英語学習をする以前に、発音矯正レッスンを通して、正しい発音を身につける必要がある

・聞き流すだけの英語学習に加えて、英文を読む必要がある。

そもそも「聞くだけで話せる」系教材が流行った理由は、簡単に英語力が上がると思わせたからです。

というのも聞き流すだけということは、座学をする必要がありません。学生時代、単語や文法事項の習得がうまくできず、英語に挫折した人でも、「英語が話せるようになるかもしれない」と期待してしまいます。

また、広告にアスリートやビジネスパーソンを起用しているのも特徴です。「1日5分から、隙間時間に聞き流すだけで良い」というのが謳い文句に加え、「忙しくても、聞き流すだけなら継続できる」というイメージを植え付けることで、継続しやすい内容だと思わせました。

「座学をする必要がない」「忙しい人でも続けられる」という2点が、聞くだけ教材の手軽さを生み出しています。

言語習得において、うまい話はない

SLA(第二言語習得論)では、第二言語を習得するために「大量のインプットと少量のアウトプットが必要」としているように、座学を含めたインプットは避けては通れません。

フィリピン留学・サウスピークにおける半年での学習量。(1人分)1人では持ちきれないほどの参考書の量です。

例えば、英語初級者レベルのTOEIC300点から英語中級者レベルの600点まで到達するには、1000時間から1200時間が必要だと言われています。1日30分の聞き流すだけの英語学習で換算すれば、5年以上(2000日)かかります。

(参考リンク:TOEIC L&R試験の点数を上げるために必要な学習時間

そのように量的に見ても、聞くだけでは話せるとは言えません。「1日5分から、隙間時間に聞き流すだけで良い」という謳い文句に騙されることなく、2018年は英語学習に取り組んでみてはいかがでしょうか?

参考文献:

英語教師のための第二言語習得論入門 著者・白井恭弘 発行所・大修館書店

CDBフォニックス<発音>トレーニングBOOK 著者・ジュミック今井 発行所・明日香出版社

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