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第二言語習得論 英語学習

英語学習にアウトプットが重要な理由|記憶は「出力」を重視する。

2019年4月26日

英語学習者の皆さん、こんにちは。単語に文法事項にイディオムに、覚えることは山のようにありますよね。インプットに多くの時間を割き、基礎知識をつけようとされている方も多いのではないでしょうか。

ここで注意していただきたいのが、「ただインプットしているだけでは記憶はなかなか定着しない」ということ。文法や単語を詰め込むだけではなく、実際に会話や筆記で使ってみることが大切だということです。

今回は東京大学大学院薬学系研究科教授で神経科学に造詣の深い、池谷裕二先生の著作『受験脳の作り方 脳科学で考える効率的学習方法』を参考にそのメカニズムを解説していきます。

スワヒリ語単語における記憶の実験結果

アメリカ・パデュー大学のカーピック博士が行った研究により、「脳は入力よりも出力を重要視する」ということがわかったのです。

博士はスワヒリ語の単語を40語覚えてもらうという実験を行いました。それはワシントン大学の学生40人を対象に、対になった単語を5秒ずつ表示し次々に覚えてもらうというもの(学習時間やテストの頻度などについて詳細は明らかではありません)。生徒たちは以下の4つのグループに分けられました。

<グループ1> テストで満点が取れなかった場合40個の単語を見返し、再度40問のテストに挑戦する。

<グループ2> テストで満点が取れなかった場合テストで間違えた単語のみを見返し、再度40問のテストに挑戦する。

<グループ3> テストで満点が取れなかった場合すべての単語を見返し、間違えた単語のみが出題されるテストに挑戦する。

<グループ4> テストで満点が取れなかった場合間違えた単語のみを見返し、間違えた単語のみが出題されるテストに挑戦する。

 再度覚える範囲出題範囲
グループ140語全て40語全て
グループ2間違えた単語のみ40語全て
グループ340語全て間違えた単語のみ
グループ4間違えた単語のみ間違えた単語のみ

以上4つのグループで結果にどのような違いが出たと思いますか? 実は大きな差は生まれなかったのです。5回ほどこのプロセスを繰り返せば、どのグループも大差なく満点をとることができたとのこと。

さて、この実験にはまだ続きがあるのです。1週間後、博士は4つのグループを対象にもう1度テストを行いました。

すると、大きな差が生まれなかった前回のテストとは対象的に、成績が2つに別れたのです。グループ1・2は約80点という結果だったのに対し、グループ3・4は約35点にとどまる結果となりました。

確認しましょう。グループ1・2の共通点は「再テストにおいて40語すべて出題されたこと」グループ3・4の共通点は「再テストにおいて間違えた問題のみ出題されたこと」です。

英語学習で重要な「出力(アウトプット)」とは

「再テストにおいて40語すべて出題」されたグループは1週間後も高得点を獲得し、「再テストにおいて間違えた単語のみ出題」されたグループは1週間後には半分以下の点数に下がってしまいました。

この実験結果から導き出される結論として、先述した「脳は入力よりも出力を重要視する」ということが言えます。40語すべてを再テストの都度毎回暗記し直したグループ3。しっかりと定着したのではと思ってしまいますが、1週間後には間違えた問題のみ暗記したグループ4と同等の成績となってしまいました。

どうしてこのような結果が導き出されたのでしょうか。科学的に考えるために多数の脳科学に関する著作を持つ池谷裕二先生の『受験脳の作り方 脳科学で考える効率的学習方法』を参考にしてみましょう。このように述べられています。

脳には毎日ありとあらゆる情報が入ってきますが、そのすべてを覚えておくことはできません。記憶すべき情報を取捨選択しなくてはなりません。(中略)

大切なのは「出力」です。海馬*の立場から言えば、「この情報はこれほど使用する機会が多いのか。ならば覚えなければ」と判断するというわけです。

*海馬:脳の器官の1つで、記憶や空間学習能力に関わっている。

何度も単語帳を見返すよりも、実際に覚えた事項を使ってみることで効率よく学習することができるのです。覚えておくべき事項を丸暗記し頭に必死に詰め込んだとしても、知識として定着するとは脳科学的には考えられないのです。

英語学習ではインプットとアウトプットの両方が重要

「海外に住む子供は、外国語で話されるテレビ番組を見てその国の言語を学ぶ」という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。「テレビ番組視聴を通して外国語を習得できる」などと聞くと夢の様な話に思えますが、この仕組みにはカラクリがあるのです。

このように外国語を習得した子供は、外国語を聞き取ることができても上手に話すことができない、つまり使いこなすことができません。たくさんのインプットがあってもアウトプットしなければ定着しない例の1つです。

(十分なインプットがあるにも関わらずアウトプットできないこの状態を「受動バイリンガル」といいます)

このことからも、インプットに加えてアウトプットも非常に大事だということがわかりますね。インプットだけでは得た知識を効果的に使うことができないのです。アウトプットの機会があってこそ知識が定着し、かつ苦手な部分・理解が十分でない点を見つけることができるのです。

「インプット→アウトプット→インプット」という流れがあって初めて知識は定着します。インプットだけでは付け焼き刃となってしまい、せっかく覚えた事項もすぐに忘れてしまうのです。

①インプット:リーディング&リスニングで単語、文法を大量にインプット

②アウトプット:話す書くことで不足している単語、文法を認識

③インプット:不足している単語、文法を再度のインプットで補強

関連記事「英語上達にはアウトプットが重要!でも、ほとんどの人は圧倒的なインプット不足かも

簡単に英語力は身につきません。果てしなく長い英語学習の道ですが、脳科学に基づいた「アウトプット重視」の記憶方法を参考にしてみてはいかがでしょうか。

参考

「受験脳の作り方 脳科学で考える効率的学習方法」池谷裕二、新潮社

The Critical Importance of Retrieval for Learning

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