海を挟んだ隣国韓国。日本との時差もありません

日本との文化交流が盛んな韓国は英語学習が日本よりも進んでおり、国民の英語力が日本よりも高いことで知られています。15年ほど前までは日本と同様に英語が苦手とされていましたが、近年英語力がぐんと向上しています。

日本でTOEIC Programを実施・運営する、国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が発表した2017年のTOEIC L&R試験スコア平均データでは、日本は517点、韓国は676点と150点以上の開きがありました。

韓国ではなぜ英語教育に力を入れているのでしょうか。本記事ではその点を中心に、韓国の英語教育について見ていきます。

韓国社会ではなぜ英語教育に力を入れているのか?

「受験大国韓国」といったフレーズを聞いたことはないでしょうか?韓国ではより良い就職先を得てキャリア形成を行うため、受験や英語学習に非常に力が入っているのです。

2017年には韓国の20代の失業率が日本の2倍を越えたことが調査で分かりました。その背景を韓国銀行は、同行経済研究の報告書「韓国と日本の青年失業比較分析および示唆する点」の中で以下のように推測しました。

・良質の雇用が不足している
・大企業と中小企業間の賃金格差が大きい

このように韓国では就職が難しくなっており、高い賃金と安定した将来を求め、多くの求職者が就職活動の期間が長くなってでも大企業や成長中の企業で職を得ようとしているのです。

そのため就職活動は激化し、高い英語力をもつ人材が求められるようになりました。採用にあたってはまず間違いなく英語力が問われ、より高い英語力がより良い就職先につながります。

特に1997年の通貨危機を境に国民に広がった危機感もあって、経済のグローバル化が進み、それに伴って英語教育に対する意識が高まってきました。トップ企業を中心に英語公用語化の動きが進んでいます。

例えばSK Globalが1999年に3年以内の社内の文書などの公用語化を英語化することを宣言しました。日本では2010年に楽天が社内英語公用語化移行開始を宣言したことを考えると、韓国では日本よりも企業の社内英語公用語化への意識が早いうちから高まっていたことがわかりますね。

また、韓国では親の子供への英語教育熱がかなり高いということもあり、親の進めで留学させられている人も多く、日本よりも英語圏への留学が盛んです。近年注目されているフィリピン留学も、元は韓国で始まったもの。

参考記事
「韓国20代失業率、日本の2倍以上」…その主要原因は?|中央日報
韓国企業の国際経営と英語ー現地調査レポート |神戸大学経済経営研究所

韓国人の英語力が日本人より高い理由

そもそも、なぜ韓国人の英語力が日本人の英語力よりも高いのでしょうか。韓国語は英語が属するゲルマン語派の言語ではなく、英語と近い言語というわけではありません。ですから、韓国語話者の韓国人が英語学習において非常に有利というわけではないのです。

韓国では国の英語教育体制の整備が日本よりも進んでおり、英語の授業に多くの時間が割かれています。1997年から小学校3年以降の英語教育が導入され、2008年からは初等学校1年生から英語教育が始まりました

また韓国では親の英語教育熱がかなり高いということもあり、親の進めで留学させられている人も多く、日本よりも英語圏への留学が盛んです。フィリピン留学も、元は韓国人が始めたものでした。

そのため英語教育への投資額は非常に高く、年間の英語私教育費は2006年の時点で15兆ウォン(日本円で約1兆9,000億円)に達すると推定され、1人当たりの教育費は日本の7.8倍に当たるとされています。

韓国と日本の平均TOEIC L&Rテストスコア変遷

上のグラフは、2012年から2017年までの日本と韓国のTOEIC L&Rテストスコアを表しています。韓国は2017年こそ減少していますが、2012年以降毎年スコアが伸びており、特に2015年は前年に比べて24点スコアアップしています。

参考資料
韓国における小学校英語教育の現状と課題
韓国社会における英語熱と学校教育 – ベネッセ教育総合研究所

韓国の英語教育から逆算する日本の英語教育

グローバル化に伴い、高い英語力を持つ人材への需要が高まっていますね。スキルアップや就職・転職活動のため英語学習に力を入れる人も増えてきました。

海外で学位を取得し、外資系銀行でクオンツとして活躍されていた藤沢数希(Ph.D.)もこのように書いています。





日本はアジアの主要国の中でもまだまだ英語力が低い国です。2018年のEF英語能力指数世界ランキングではアジアトップは全体3位につけたシンガポール、アジア2位は全体14位のフィリピン、アジア3位は全体22位のマレーシアで、韓国は31位となりました。一方の日本は88国中49位と、韓国はもちろん中国や台湾にも及びませんでした。

韓国やシンガポール、フィリピンなどの英語教育や英語の普及状況は、同じアジアとして日本の良い見本といえるでしょう。隣国韓国で英語力がぐんと上がっていますから、日本も続きたいですね。

参考記事
AI時代には英語学習がますます重要になる3つの理由| 藤沢数希(特別寄稿)
フィリピンと英語ーなぜフィリピン人のビジネス英語は高く評価されるのか