人を動かす“How to Win Friends & Influence People”

人を動かす“How to Win Friends & Influence People”

道は開ける』は自分の中でしっかりとした「軸」を持ち、悩みや問題に直面しても逃げずに立ち向かう指針を与えてくれる本です。つまり自分を変えるための本です。一方、『人を動かす』は周りの人たちを動かしていく方法を説いています。『道は開ける』でしっかりとした自己を確立した上で、『人を動かす』を読んで周囲の人たちを巻き込んでいく能力を身につけるのが順番としてはよいと思います。

『人を動かす』で最も強調しているのは「人は論理的ではなく感情的な生き物である」ということです。この真理を多くの人はまったく理解していないと思います。「論理的に正しければ人はそれに従う」なんてことは決してありません。ここでひとつ単純な例を紹介します。次の二人のうち、あなたはどちらの人と一緒に働きたいですか。

  1. 毎朝、会ったら向こうからわざわざこちらに走ってきて笑顔で挨拶をしてくれる人
  2. エレベーターの中で会ってこちらから挨拶をしても、しかめっ面で会釈を返すだけの人

おそらくどちらか一人選べと言われたら、全員が前者の人と働きたいと思うはずです。これは分かりやすい一例ですが、他の多くの場合においても人は感情に徹底的に支配されています。あなた自身の身の回りの人を思い浮かべてみてください。一緒にそこにいるだけで楽しい気持ちになる人がいますよね。私もいまその人のことを思い出したら、自然と笑みがこぼれてきました。逆に思い出すのも嫌だと思えるくらいに毛嫌いしている人もいるはずです。彼らはいったい何が違うのか、そして自分の周囲の人たちを動かすためにどのようなことをすればよいのかを『人を動かす』は教えてくれます。

次に、本書の中で紹介されている「人を動かすための三大原則」を順番に紹介していきます。

  • 原則? 批判も非難もしない。苦情も言わない。盗人にも五分の理を認める。
  • 原則? 重要感を持たせる。率直で誠実な評価を与える。
  • 原則? 人の立場に身を置く。強い欲求を起こさせる。

最初に原則?「批判も非難もしない。苦情も言わない。盗人にも五分の理を認める」について説明します。私たちはたとえ自分自身に悪い点があっても、それを人から非難されるのを死ぬほど嫌います。本の中では極悪マフィアの代表であるアル・カポネでさえ自分は悪いことをしていないと思っているという例を紹介しています。アル・カポネでさえこう思っているのですから、私たち一般人はなおさらです。私も過去の失敗を思い出してみても、自分が悪かったかなと思いつつも「そうするのは仕方がなかったから」と思ってしまいます。自分の罪悪感をまぎらすための言い訳は無限にできます。

批判・非難・苦情は相手の感情を害するだけです。それがたとえどれだけ正当であっても通常相手は聞く耳を持ちません。「会社に入った新入社員を説教ばかりしている人たちはこのことをまったく分かっていないよな。これらの叱責がどれだけ社員たちのやる気を失わせているのか分かっていないな」と私は思います。他にもたとえばInternetにおいて気に入らない発言を見つけて反論しても、それで相手を変えることはできません。たとえそれで相手を論破しても、論破された相手はそれを恨みに思うだけです。事態はまったく変わりません。

次の原則を紹介します。原則?「重要感を持たせる。率直で誠実な評価を与える」について説明します。人間は「自分を特別扱いしてほしい」「尊敬されたい」といつも思っています。自尊心を満たされることを常に「渇望」しています。この渇望が満たされない状況を考えてみると分かりやすいでしょう。「誰にでもできる単純労働」をさせられて、いつもそこで「罵られている」。そして「未来への希望」なんてない。こんな状態でやる気を出せる人がいたら見てみたいものです。

「自分は特別な誰かになりたい!」そういう思いが満たされることを人々は心底から望んでいます。その願望を満たされるのであれば、人は一生懸命に勉強するし、また必死で働きます。「あなたがいてよかった」「この仕事はあなたにしかできない」「あなたと話せてとても嬉しい」こういうことを言われることを人は常に望んでいます。

最後に原則?「人の立場に身を置く。強い欲求を起こさせる」について説明します。顧客の要望をまったく理解せず、自社の製品の宣伝ばかりする営業マンの製品が売れないのはこの原則に違反しているからです。だれも営業マンの一方的な売り文句になんて興味はありません。

また、新入社員が「何が分からないか分からなくて質問もできない」「質問の仕方が分からない」という状態にあるのに、「なんで質問に来ないのか!やる気がなくてけしからん!」と叱責する上司も「相手の立場をまったく考慮できない想像力が欠如した人」です。この新入社員はやる気があるけれど、「何を質問してよいのか」「どう質問してよいのか」分からないだけです。新入社員の現状を理解して、何が分からないかを丁寧に分析して教えてあげれば、彼は感謝して一生懸命に仕事をするはずでした。しかしこの上司は叱責することによって部下のやる気を失わせてしまったのです。

これらの原則「非難しない」「重要感を与える」「相手の立場を考える」は一見すると当たり前に思えるかもしれませんが、これらを適切に実践できている企業(人)はどれだけあるでしょうか。これら原則がまったく実践されていないために、日本企業では社員のやる気が著しく低下しています。

次に紹介する資料は野村総合研究所(NRI)が5年前に発表した資料で、社員のやる気を高めることが企業の競争力につながると記しています。しかしこの5年で状況は改善されたのでしょうか。少なくとも私の身の回りではまるで変わっていないと思います。みなさんの周りでは状況は改善されましたか。

InternetやTwitterを見ていても、社内では自分のやりたいことができずにやる気をなくしている人たちを何人も見かけます。そういう人たちがもし思うままに力を発揮することができたら日本はもっとよくなるのに、といつも思っています。

人を動かす』ではこういった今の日本に決定的に欠けている「人々のやる気を高める方法」を紹介しています。『人を動かす』は1936年に出版されて以来、日本で430万部、世界で1500万部以上の売上を記録しています。『道は開ける』と同様に、時の試練を乗り越えた「名作」です。とてもとても大切な教訓を教えてくれるので、私はこの2冊は一生手放しません。

以上、『人を動かす』の紹介でした。この本は何かあるたびに読み返すべき本なので、英語Audio Bookをお勧めします。何度も聞いているうちにあなたの人生観は間違いなく変わります。

関連書籍

●  さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす』(マーカス バッキンガム他著、日本経済新聞出版社)

『人を動かす』に加えて、各人の長所を引き出すこと(Build on Strengths)を重視するこの書籍を組み合わせるととても効果的です。合わせて読むことを強くお勧めします。

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執筆者
柴田 はるじぇー @HAL_J
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柴田 はるじぇー @HAL_J

セブ島にある語学学校サウスピークの英語学習アドバイザー。著書に「3ヶ月でTOEIC300点上げるフィリピン留学」「20歳を過ぎてから英語を学ぼうと決めた人たちへ」