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IoT 技術トレンド

産業の土台となる"5G" IoTにどんな恩恵をもたらすのか?



通信規格で近年頻繁に耳にする5G

アメリカと韓国が世界で最初に
5Gの商用サービスを開始するかで競い合ったことは記憶に新しいでしょう。また5Gの基地局で最大のベンダーだと予想された中国のファーウェイは、アメリカと中国の貿易戦争に巻き込まれたため、世界各国で排除の動きが出ているなど、5Gはまさに産業の土台とも呼ぶべき技術です。

その中でも、5Gが恩恵をもたらす最大のターゲットがIoT」です。

そこで
5Gとは何か、IoTにどのように応用されるのかついて解説します。

5Gとは?

5世代移動通信システム(5G)とは、各国の通信会社などによって決められた無線通信の国際規格です。1970年代後半から80年代にかけて定められた1Gから約10年ごとに、規格が更新されています。当初は通話に限られていた用途も、文字や動画、音楽にまで拡張されました。

現在、私たちが用いるスマートフォンやタブレットで利用される通信規格は4GLTE)です。この4Gとまもなく登場する5Gとを比較すると、表のようになります。

 

4G

5G

最大通信速度

最大毎秒1ギガビット

最大毎秒20ギガビット

同時接続できる端末数

1平方キロメートル当たり1万台

1平方キロメートル当たり100万台

データ通信の遅延時間

10ミリ秒

1ミリ秒

韓国やアメリカではすでに5Gの商用サービスが提供されています。アメリカのベライゾン・コミュニケーションズが、固定通信の代わりに自宅で高速通信できる家庭向けのサービスを、韓国のKTはスマートフォン向けの5Gサービスの提供を開始しました。日本では、NTTドコモとKDDI、ソフトバンクの3社が2019年内に5Gの商用サービスを部分的に開始予定です。

ちょうど3Gから4Gへの移行の際に、過渡的な規格としてLTEが採用されたのと同様、5Gもまた段階的に展開されます。まず現行の4Gを改良した互換性重視のeLTEenhanced LTE)と、4Gと互換性のないNRNew Radio)の2種類の規格が、同時並行で進行しています。

eLTE4Gと同じ周波数帯を使用するため、高速化は4Gの数倍、遅延時間の短縮もわずかしか期待できません。他方NRは、大幅な高速化(フェーズ1)ののち、遅延時間の短縮や接続端末数の増加(フェーズ2)を試みるという2つの段階を踏みます。現状ではeLTENRのフェーズ1の併用が行われる予定です。

5GIoTとのつながり

5Gと競合しうる複数の無線通信規格

4Gの登場がスマートフォンの普及を後押ししたように、5Gの登場はIoTの本格的な普及に貢献します。

IoTにおいては、自動車(コネクテッドカー)や工場の設備など、あらゆるモノがネットワークに接続されます。とりわけ、これら端末に搭載されたセンサーから外界の情報を集めたビッグデータをクラウドコンピューターに送受信するためには、現行の通信規格では困難が伴います。すでにビッグデータを処理できるディープラーニング(深層学習)等のAIは整備されていますので、残るは大規模なデータ輸送を可能にする通信規格の問題です。

実をいうと、5G以外にもIoTに不可欠なネットワーク用の通信規格は複数存在します。5Gは免許が必要な通信で、長距離でのデータの送受信を可能にします。
その一方で、中短距離用で免許取得の必要ない
SIGFOXLoRaWANといった無線通信規格があります。SIGFOXLoRaWANの通信距離は10から20キロメートルと中距離をカバーし、伝播特性に優れるのが特徴です。このほかにもおサイフケータイの通信などに使用されるBluetooth等の短距離通信用の規格が存在します。

IoTの需要をすべて満たす通信規格はありませんので、用途ごとで各通信規格の利用が期待されます。

5GIoTに活用するメリット

5Gのメリットは、免許を取得した通信キャリアによる高品質な通信である点です。これ以外にも、大容量のデータ通信、同時接続数の増大、遅延時間の短縮などが挙げられます。IoTではあらゆるモノがネットワークで接続されるため、同時に接続できる端末数の多いことが無線通信規格に求められます。

5Gの要件はこの問題をクリアしています。またIoTの応用事例のひとつである自動運転車においても、データ通信の遅延は大きな障害をもたらすリスクがあります。たとえばGoogleやソニーは、クラウドコンピューターによるAI処理で自動運転の検討を開始しています。ところがデータ通信の遅延が、自動運転の操作を遅らせ、最悪の場合事故へとつながります。車載コンピューターに頼らない自動運転を実現するには、長距離での通信を可能にする5Gが不可欠です。

5GのIoT分野での活用で見逃せないのが、「製造業」です。

製造業に
IoTを活用し生産効率化を図るのが、インダストリー4.0(第4次産業革命)です。2012年にドイツで最初に提案されて以降、日本や中国、アメリカなど多くの国がこの流れに追随しました。工場での生産性向上を助けるのは、ビッグデータだけではありません。多くの産業用ロボットが人間の代わりに作業を行ないます。産業用ロボットの制御もまた、IoTを通じて行なわれます。

ロボットや工場設備などに搭載されてたセンサーから取得したデータをクラウドコンピューターでの処理し、ロボットを制御することが期待されます。しかし現行の
4Gでは遅延の問題がボトルネックになり、実用化は困難です。

大容量のデータ通信や遅延時間のわずかな
5Gが、産業用ロボットの制御に必要になります。無線で産業用ロボットと通信することで、ロボットの配置転換が容易に行なえる等のメリットがあるのです。

参考記事:
インダストリー4.0とは何か?わかりやすく解説

日本が推し進めるソサエティ5.0とは?インダストリー4.0との違いはあるのか?

5GIoTへの活用事例

5Gが実現間近になり、IoTへの有効な活用方法も徐々に絞られてきました。

活用事例として有力なのが、自動車やロボット、建設機械の自動運転や遠隔操作です。

参考記事:
IoTでビジネスはどう変わるのか?IoTの影響力や今後を解説

産業用ロボットの遠隔操作

少子高齢化による労働者不足が近年叫ばれるなか、建設業界においても作業員不足の問題が顕在化しています。このような背景から、建築業界では5Gを介してロボットや建設機械などを遠隔操作する手法が研究・開発されています。

建設機械の遠隔操作は従来でも、Wi-Fiの活用が検討されてきました。しかしWi-Fiの場合、通信距離の範囲が半径2キロメートルと、遠隔操作室の設置に制限がありました。他方5Gでは遠距離での通信が可能になるため、新たに遠隔操作室を設置することなく、集中管理室での遠隔操作が可能になります。

5Gを活用した建設機械の遠隔操作には大林組などが取り組んでいますが、単なる機械操作にとどまりません。建設機械が搭載するカメラから取得された現場の情報が、遠隔操作室に送信可能になります。凸版印刷NTTドコモと共同で、分身ロボットを介して、まるで建設現場に訪問したかのような体験のできる「仮想テレポーテーション」の実現を目指しています。視覚や聴覚だけでなく、触覚までもが5Gを介して伝送可能で、単なる建設機械の操作を超えた人間体験の拡張(IoA:能力のインターネット化)が実現されます。

参考記事:
日本はロボット”後進国”!?日本経済発展の鍵を握る「協働ロボット」について色々聞いてみました!

自動車の運転支援

自動運転技術は、車載コンピューターによるAI処理だけでなく、クラウドコンピューターによるAI処理による実現も視野に入っています。自動車とネットワークとの通信には、5Gが不可欠です。近年注目を浴びているのが、C-V2Xと呼ばれるクルマの運転支援です。

車載コンピューターによる自動運転の場合、混雑した高速道路での追い越しや、見通しの悪い交差点での出合い頭の事故の対処に限界があります。他方C-V2Xでは、ネットワークを介して交通状況や事故情報などをリアルタイムで受信できるだけでなく、走行するクルマから取得された情報を送信することで、情報の共有が可能になります。C-V2Xの実証実験も、日本や韓国などですでに実施されています。5Gの商用サービスを開始しているSKテレコムは、韓国の高速道路での実用化を2019年に計画しているといいます。

5Gの将来性

5Gにもさまざまな規格があり、最終的な到達点は、大容量通信可能で遅延時間の短いNRの実現です。eLTE等による5Gの商用サービスが開始されるのは2019年に前倒しされましたが、完全な5Gの実現は2025年だと予想されます。完全自動運転の実現が2030年と予想されるため、5Gの普及は欠かせません。

5Gの経済効果が予想される分野は多岐にわたります。製造業や農林水産業、建設業だけでなく、医療や小売業まであらゆる産業に5Gの活用が期待されます。とりわけ、その効果が大きいと試算されているのが、製造業と交通事業です。自動運転の実現により、物流への波及効果が期待されます。加えて、交通事故や渋滞の減少やカーシェアリングなど、多くのメリットがもたらされます。また製造業においても、オペレーションの効率化など、IoTの活用が予想されます。総務省によると、交通事業における5Gの経済効果は21兆円、製造業における経済効果は13.4兆円と試算されています。5Gによる経済効果は大きく、総計で約46.8兆円にもなるといいます。

※実際に試算したマッキンゼーの資料によると、製造業における経済効果は5Gだけでなく、IoT全体での経済効果。

その一方で、5Gへの投資に見合う経済効果が期待できるのかという問題があります。5Gの通信規格として、従来の4Gのインフラを活用するeLTEと、4Gと互換性のないNR2種類が存在し。5Gの最終的な到達点はNRであり、多くのNR対応の基地局が必要になります。もし5Gによる経済効果が期待通りに現れない場合には、設備投資が続かなくなる恐れがあります。

産業用IoTに限れば、通信規格は5Gに限らず、免許の要らないLPWAなど、多くのオプションが通信手段として存在します。中短距離の通信規格に限ってもSigfoxLoRaWANなど数多く存在し、標準化に向けた覇権争いが予想されます。大規模な設備投資が必要なため、どの通信規格が標準となるかの見通しは非常に難しいです。

5GのIoT活用でカギを握るソフト分野

5Gの活用は多岐にわたり、IoTはその一部です。しかし経済効果の側面に照らし合わせると、交通事業や製造業など、多くのメリットがもたらされます。

5Gにおいてカギとなるのは、ハードよりもソフトです。通信基地に関しては、中国のファーウェイやエリクソン、ノキアなどがベンダーになり、日本のベンダーが参入する余地は大きくありません。しかし5Gの活用は多岐にわたります。IoTにおいて市場の成長が期待されるのは、アプリケーションやサービスです。そのため、5GIoTを融合したサービスが今後ますます重要な役割を果たすでしょう。GAFAと呼ばれるプラットフォーマーが世界で影響力をもつなか、IoTにおいてもどの企業が覇権を握るのかが注目されます。

 

<参考資料>

製造業IoTの本命は5Gなのか、それともLPWA含む非免許通信か

5Gの利活用分野の考え方

Unlocking the potential of the Internet of Things

「5Gビッグバン最前線」(『週刊ダイヤモンド』2019年3月23日号)

「世界中が「5G」に群がる」(『日経ビジネス』2019年4月15日号)

「ロボットも車も「遠隔」で制御」(『日経ビジネス』2018年5月28日号)

「5G+ロボットで遠隔就労」(『テレコミュニケーション』2018年4月号)

「LPWAの衝撃波」(『テレコミュニケーション』2016年8月号)

『すべてわかる5G/LPWA大全 2018』(日経コンピュータ 著)

『オーグメンテッド・ヒューマン』(暦本純一 監修)



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Naoki Kitayama

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