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インダストリー4.0 技術トレンド

インダストリー4.0とは何か?わかりやすく解説


翻訳すると「第四次産業革命」という堅苦しい用語になってしまうインダストリー4.0。蒸気機関の発明による「第一次産業革命」、電気による「第二次産業革命」、そしてコンピューターによる「第三次産業革命」に続くのが、インダストリー4.0です。

本稿では、インダストリー4.0とは何かについて、従来の産業革命との違いや具体的事例、今後企業が対処すべき事柄等を踏まえて、説明したいと思います。


インダストリー4.0とは?


製造業分野で危機感をもったドイツによるプロジェクト


インダストリー4.0は、ドイツ工業アカデミー評議会議長のヘニング・カガーマン氏が提唱した製造業のプロジェクトです。ドイツ政府がインダストリー4.0を主導し、産官学共同でこの国家プロジェクトを開始しました。

ドイツは日本と同じく、モノづくり大国と呼ばれます。自動車メーカーに限っても、メルセデスベンツやBMW、ポルシェまで、高い技術力が保たれています。

ドイツの競争相手となるのが、中国や日本、アメリカといった国です。日本はボトムアップ型の「トヨタ生産方式」、アメリカはトヨタ生産方式にトップダウンの考えを取り入れた「リーン生産方式」を採用し、品質の高いモノの大量生産が可能になっています。

危機感をもったドイツがインダストリー4.0により、巻き返しを図ろうというのが、プロジェクトの背景にあります。


インダストリー4.0以前に展開された3つの産業革命


産業における革命は、歴史を振り返ると幾度も展開されました。人力や馬力、風車や水車が行なった作業が、蒸気機関により効率化されました(第一次産業革命)。

また電気の利用やベルコンベアの登場により、ひとつの製品を大量生産する仕組みが、19世紀半ばから20世紀初頭にかけて確立されました(第二次産業革命)。そしてコンピュータやインターネットの登場により、生産設備をコントロールできるようになりました(第三次産業革命)。

インダストリー4.0の中心になるのが、2000年代半ばから考えられてきた「スマートファクトリー」です。スマートファクトリーは、「マスカスタマイゼーション」と呼ばれる、工場を中心にリアルタイムで四方八方と連携することで、高付加価値をもつカスタム製品の大量生産が可能になります。

マスカスタマイゼーションを可能にするのが、機械による判断の自律化です。後述するように、自律化を実現するためには、従来の製造プロセスの仕組みそのものを再構成する必要があります。


ドイツ以外でもアメリカや日本が製造業の改革に取り組む


ドイツで始まったインダストリー4.0ですが、同様の試みはほかの国でも行われています。アメリカには、製造業だけでなくエネルギーや産業全般へのIoTの活用を推進する団体インダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)があります。

多国籍コングロマリット企業であるゼネラル・エレクトリック(GE)などの大企業が主導している点が、ドイツのインダストリー4.0とは異なります。

日本にも、日本機械学会の研究分科会を母体にした、日本版インダストリー4.0と呼ぶべき、インダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ(IVI)が、2015年4月に発足しました。工場をつなぐという思想は日本でも浸透しており、三菱電機や日立製作所、コマツなどが実現させています。


インダストリー4.0と従来のITとの違いは?


インダストリー4.0でも、やはりICT(情報通信技術)の活用が欠かせません。ところが、製造業の分野では、従来からICTやコンピュータの活用が行なわれてきました。CADの導入による設計のデジタル化が、その一例です。では、従来のICTの活用と、インダストリー4.0が目指す方向性とでは、どの点に違いが生じるのでしょうか。


部分ではなく全体の効率化を求めるインダストリー4.0


インダストリー4.0では、これまで行なわれてきたコンピューター導入による部分的な効率化ではなく、製造プロセスなどでデジタル技術がフル活用される必要があります。従来の製造プロセスの仕組みそのものが再構成されなければいけないのは、このためです。

具体的には、別々のシステムで構成されていた各プロセスをプラットフォームで連携させることで、製品設計から設備設計、製造に至るまで、シームレスに行なうことが可能になります。

とりわけ重要になるのが、「標準化」です。各業務プロセスを連携させるために、情報のフォーマットやシステム、インターフェースなどを標準化する必要があります。


IoTとインダストリー4.0との違い


各プロセスを連携させるインダストリー4.0ですが、IoTと混同する人もいるかもしれません。そこで、インダストリー4.0とIoTとの違いについても説明しましょう。

「モノのインターネット」と訳されるIoT(Internet of Things)は、あらゆるモノがインターネットで接続されることを指します。身近な例を挙げると、スマートスピーカーや家電製品などがインターネットに接続されることで、遠隔地からスマートスピーカーを通じて家電製品を操作することが可能になります。

一方、インダストリー4.0でも、モノとモノとがインターネットで接続されます。加えて、業務プロセス同士も連携し、情報の交換が可能になります。このような複合的な連携により、生産の効率化を目指すのがインダストリー4.0です。

つまり、業務プロセスと業務プロセスとがつながるという意味では、インダストリー4.0はIoTの1つの形ともいえます。

インダストリー4.0の問題点


日本でもIVIが発足するなど、一見スマートファクトリーによる業務プロセスの連携が国内で成功しているかに思えますが、問題点もあります。

国内製造業の構造的問題


まずは、日本の製造業の構造的問題が挙げられます。最終製品を作る大企業と、それを下請けする中堅中小企業から、製造業は成り立ちます。確かにスマートファクトリーのような技術やノウハウを、大企業が保有しているかもしれません。

ところがこれらの技術が、中小企業に還元されているとはいえない状況です。大企業と中小企業とが連携するためには、機械やシステムを取り換える必要がありますが、中堅中小企業にとって設備投資は大きなネックになるでしょう。

また大企業の側に立つと、品質やコストが見合えば、部品は海外から調達することも可能です。そのため、大企業のみ業務プロセスの連携が機能しても、中堅中小企業は疲弊することになります。

人材確保の問題


人材教育の面でも、問題が発生します。インダストリー4.0を推進したとしても、それを活用する人間の理解や技術力が追い付かないのでは浸透しません。とりわけ少子高齢化により、中小企業にとって人材確保は死活問題です。

インダストリー4.0では、仕事のスキルに加え、データ分析や対応力が人材に求められます。製品を作ることをICTやコンピュータに任せることは可能ですが、インダストリー4.0で求められる付加価値のある製品を大量生産するためには、従来熟練労働者の保有していた技術が数値化されなければなりません。

従来にはデータ化されなかった部分をデジタル化し、AIなどに読み込むことで、品質の高い製品が大量生産されるようになります。そのため、設備投資だけでなく、これらのデータを扱える人材の教育が求められます。

セキュリティの問題


業務プロセスのスマート化という点では、セキュリティの問題が挙げられます。2016年にマルウェアのMiraiがIoTの機器への侵入を試み、感染した結果、ツイッターなどのサイトにアクセスできない状況が発生しました。

モノや業務プロセスなどがインターネットで接続されますので、パスワードが破られると、最悪の場合、情報が流出するリスクが発生します。サイバー攻撃を受ける可能性を視野に入れ、セキュリティ強化に取り組む必要があります。


インダストリー4.0の具体的事例


最後に、インダストリー4.0を実践する本場ドイツの企業について紹介しましょう。


規格の標準化に対応する独自動車メーカー「ボッシュ」


ドイツの自動車メーカーボッシュは、インダストリー4.0に取り組む企業のひとつです。ボッシュとパートナー企業は合同プロジェクトを立ち上げ、インダストリー4.0とIICの技術規格をつなぐ取り組みに着手しています。

これまで、世界的な共通言語が欠落していたため、製造業だけでなく物流や建設、エネルギー管理分野での円滑な国際的協調が困難でした。2つの規格間でのデータ交換を可能にすることで、工場同士の連携が国際な規模で実現しようとしています。


工場内の機器がインターネットで接続


ボッシュが取り組んでいるのは、生産ラインの非効率を見つけ、この問題の原因究明や交換部品の発注、さらにはメンテナンスにかかる時間の割り出しなどすべてを機械が自律的に行なうシステムを開発することです。

ドイツ南部にあるプライヒャッハ工場では、工場機器や電動工具をインターネットでつなぎ、業務プロセスが自動化されています。異なる組み立て指示を準備することで、1つの生産ラインから300品目もの自動車用油圧バルブが製造されます。またインターネットでつながれた電動工具により、指示に応じて締め付ける力が自動的に変更できます。

ボッシュが目指すのは、効率的な生産システムに磨きをかけて、完全自動化ラインを作ることです。個々の機械には100個以上のセンサーが搭載され、収集したデータを確認しながらオペレーターが作業を進めています。電気自動車などの最先端技術を生み出す個別の機械だけでなく、それに必要なツールすらもボッシュは開発しようとしています。


企業はインダストリー4.0への対応を

これまでみたように、ドイツのインダストリー4.0だけでなく、アメリカのIICや日本のIVIなど標準化に向けた取り組みはすでに行われています。加えてボッシュのように、各規格のすり合わせもまた並行して実施され、標準化する土台は整ったともいえます。

企業としては、世界標準にあわせて、業務プロセスの連携を行なう必要があります。そのうえで、独自の強みやノウハウといった部分を上乗せすることが要求されるでしょう。各企業のもつアナログの技術は簡単に真似をできず、それを劣化なくデジタル化すること、さらにはデジタル化できない部分の積み重ねていくことが必要になるでしょう。

<参考資料>

生みの親”が語るインダストリー4.0の本質とこれから(MONOist)

今さら聞けない「インダストリー4.0」の基本、IoT で何が変わるのか(ビジネス+IT)

インダストリー4.0とは ドイツ先行、各国も取り組み(日本経済新聞)

インダストリー4.0とは? IoTとの違いについても解説(日立ソリューションズ・クリエイト)

インダストリー4.0とは?(FUJITSU JOURNAL)

『世界のインダストリアルloT最新動向 = Industrial IoT (IIoT) world trends : Industrie 4.0/IIC/IVI/中国製造2025』 (新井宏征、佐々木弘志、インプレスSmartGridニューズレター編集部 著)

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Naoki Kitayama

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