英語力が一番伸びる語学学校

インダストリー4.0 技術トレンド

インダストリー4.0の最新事例について、どのように成功に結びつけるか?

ドイツのインダストリー4.0に倣い、日本でも同様の取り組みが製造業で行なわれています。インダストリー4.0の勝ち組と負け組がすでに鮮明になりつつある中、その成功事例は、大企業だけでなく中小企業にとっても参照になるでしょう。

そこでIoTやインダストリー4.0の意味を踏まえつつ、インダストリー4.0の諸外国の事例をみていきます。

IoT/インダストリー4.0とは?

インダストリー4.0の事例を紹介する前に、インダストリー4.0とそれに類似した概念であるIoTとは何かについて確認しましょう。

IoTとは?

IoT(Internet of Things:モノのインターネット)とは、通信機器だけでなくあらゆる「モノ」がインターネットで接続される仕組みを指します。従来でもスマートフォンやタブレット、PCなどがインターネットに接続可能で、データのやり取りが可能でした。IoTではさらに発展し、たとえば車や防犯カメラなどがインターネットで接続されます。

IoTは、ネットワークに接続された「モノ」があたかも高度な処理をしたかのように振舞うのが特徴です。従来のPCでは、搭載されたCPUなどで計算処理を行なっていました。ところがIoTにより、遠隔に設置されたクラウドコンピューターなどで、端末から送られてきたデータを処理します。処理したデータを再び端末へと返すことで、その端末がデータをあたかも処理したかように「見える」のです。

インダストリー4.0とは?

IoTに似た概念としてインダストリー4.0があります。ドイツのソフトウェア企業であるSAPのヘニング・カガーマン氏が唱えたのが、インダストリー4.0です。日本語に訳すと「第4次産業革命」になりますが、インダストリー4.0はまさに、技術革新によって製造業などの産業を変えようとする動きです。その根幹となるのが、ネットワークで工場をつなげることです。

ネットワークで接続されるのは、工場に設置された機器や設備等の「モノ」だけではありません。工場で行なわれる業務プロセスまでネットワークで接続されます。この意味で、インダストリー4.0はIoTを製造業に拡張したものだといえます。

国内外で支持されるインダストリー4.0

カガーマン氏が唱えたインダストリー4.0は、ドイツの企業であるシーメンスやボッシュなどから支持を受けました。このような流れを受けて、ドイツ連邦政府が、経済発展のためだけでなく、製造業の中枢を占める中小企業の生き残りをかけて、インダストリー4.0を国家プロジェクトとして採用したのです。

ドイツは始まったインダストリー4.0ですが、世界各国がこれに追随しました。アメリカでは「Smart America Challenge」が、日本では「ソサエティ5.0」が、そして中国では「中国製造2025」が政府によって主導されたのです。インダストリー4.0と諸外国の取り組みとは、若干目的やカバーする範囲が異なったりしますが、工場をネットワークで接続し、効率よくカスタム製品を大量生産することを目指している点は変わりません。

本場ドイツでのインダストリー4.0の事例

インダストリー4.0への取り組みは、諸外国にも伝播し、日本やアメリカ、中国でも行われています。ただ最初にインダストリー4.0が唱えられたドイツが、この分野では先行しています。そこで、ドイツにおけるインダストリー4.0の事例をみていきましょう。

独シーメンスの事例

シーメンスは、ドイツのミュンヘンに本社を置く多国籍企業です。シーメンスの歴史は古く、1847年にヴェルナー・シーメンス氏が前身となるシーメンス・ウント・ハルスケ電信機製造会社をベルリンに設立したのが始まりです。電信機の会社から出発したシーメンスは、情報通信や電力関連、医療や交通など幅広い分野を取り扱うコングロマリット企業へと発展を遂げました。

インダストリー4.0に取り組むドイツの代表的な企業であるシーメンスですが、世界規模でみても勝ち組に分類されます。利益率が9.7パーセントに及ぶなど、アメリカ版インダストリー4.0であるIIC(インダストリアル・インターネット・コンソーシアム)を唱えたGE(ゼネラルエレクトリック)の利益率の4.2パーセントを遥かに超えます。

ドイツの自動車産業で行なわれるのが、モジュール化です。「モジュール」と呼ばれる機能や部位ごとの集まりに自動車を分け、それを組み合わせることで多様な自動車が効率よく設計・製造されます。シーメンスは自動車業界とともに、このモジュール戦略を推し進めてきました。

シーメンスが担うのが、モノづくりのデジタル化です。たとえば独スポーツ用品メーカーのアディダスと共同で、靴の製造工程のモジュール化に取り組んでいます。靴の構成要素をソールやアッパー、靴ひも等に分け、CADなどを使って各モジュールを作り込んでいくといいます。これにより開発効率が上昇するだけでなく、各顧客のニーズに合ったカスタマイズされた靴の製造を大量に行なうことができます。

加えて、製造ラインの構成もコンピューター上でシミュレーションし、柔軟に生産体制を構築できるようにする計画もあるといいます。シーメンスのデジタル化への取り組みを支えるのが、M&Aによるソフトウェア企業の買収です。製品ライフサイクル管理ソフトや3次元シミュレーションソフトを保有する企業を次々と買収し、2001年から2007年までにソフトウェア会社だけで、総額50億ユーロ買収したといいます。

インダストリー4.0で海外と提携するドイツ

インダストリー4.0の取り組みは海外へと波及していますが、問題となるのが標準化です。工場がネットワークで接続されるため、データの取り扱いなど標準化が必要になってきます。インダストリー4.0が登場した当初はアメリカのIICと、標準化に向けた主導権争いが繰り広げられました。

その後インダストリー4.0がIICとの連携に合意し、国際標準化に向けて一歩前進しました。日本もこの流れに対し指を加えて眺めているだけでなく、たとえば2017年にドイツ・ハノーバーで開催された世界IT見本市「CeBIT2017」のパートナーカントリーに日本が選ばれるなど、両国の協力が本格化しています。

インダストリー4.0を諸外国はどう取り組んだか

ドイツのインダストリー4.0の動きを受けて、アメリカや中国、日本などが工場をネットワークで接続し、効率よく大量生産を行なう「マスカスタマイゼーション」を実施しようとしています。またドイツ近隣のヨーロッパ諸国も、例外ではありません。

イタリアの事例

たとえばイタリアの製造業は、顧客にドイツ企業を多くもっています。そのため、ドイツのインダストリー4.0に対応することは、必要不可欠です。ところがイタリアではIoTへの対応の遅れが指摘されており、そのため2017~2019年に総額で200億ユーロに上る予算を、IoTの活用を含めた生産性向上に関わる設備投資のために計上する予定だといいます。

このような背景から、イタリアでもIoT技術を利用した事例がみられるようになりました。食品用プラスチック包装・容器製造のシロップ・ジェマは、RFIDを使って倉庫管理システムを導入しました。

工場内の製品の梱包に取りつけられたRFIDを読み取ることで、在庫を一元化して管理できるようになります。従来、製品の製造から出荷まで複雑なサイクルを経ていた工程が細かく把握できるようになり、生産性と情報処理の効率が20パーセント向上しました。

イギリスの事例

またイギリスでは、2014年3月にキャメロン首相(当時)が、IoTが生産性の向上に役立つ可能性を秘めていることについて言及し、イギリスが新たな産業革新をリードしたいという決意表明をしました。それを受けて、同年12月にはIoT促進ビジョンが公表されるなど、ドイツのインダストリー4.0にすばやく反応しています。

とりわけイギリスでは予算をひっ迫する国民保険サービス(NHS)が問題視されています。医療分野へのIoT適用に向けた実証実験をイギリスは実施しています。また製造業に関しては、国家イノベーション政策として「ハイ・バリュー・マニュファクチャリング(HVM)」が推進されています。

次世代の製造業の基盤となる技術群を含めたイノベーションを軸とした戦略であるHVMはドイツのインダストリー4.0と異なり、イギリスの事例は製造業の範囲を超えたIoTの活用やイノベーションを検討する余地を示しています。

インダストリー4.0に成功するには?

以上の事例から明らかになるのは、インダストリー4.0に向けて国だけでなく大企業や中小企業が連携して製造業の技術革新に取り組まなければならない点です。ただし、工場をインダストリー4.0に対応させるためには、莫大な初期費用がかかります。大企業にとっては対応可能な設備投資も、中小企業にとっては決して安いものではありません。

ドイツでは中小企業がインダストリー4.0への設備投資に失敗しないように、必要となる技術を標準化し、大手が異なる仕様を採用できないようにしているといいます。これにより、中小企業への負担が軽減されます。

またシーメンスの例からも明らかなように、インダストリー4.0で成功を収めつつある企業と共同で取り組むことが期待されます。ドイツの場合、デジタル化をけん引するシーメンスや、デジタル時代に適応したビジネスモデルの創出を支援するSAPのように、個別の分野で強みをもつ企業が存在します。中小企業はこうした企業から協力を得ることで、インダストリー4.0に向けて取り組むべき課題が絞られるでしょう。

成功事例に追随する必要性

インダストリー4.0には失敗リスクの高さがありますが、工場のスマート化という流れは避けられません。

とりわけ中小企業がいかにインダストリー4.0への対応を進めていくかが、インダストリー4.0の効果を高めるでしょう。

ドイツなどの成功事例を確認し、インダストリー4.0にどのように取り組むべきかを検討してはいかがでしょうか。

<参考資料>

世界に先行するドイツの事例

欧州各国の産業デジタル化推進策と IoT 導入事例

ドイツ「以外」の欧州、インダストリー4.0にどう取り組んでいるのか

南ドイツから学ぶ インダストリー4.0の地方中小企業への影響

「シーメンスとSAPが仕掛ける産業丸ごと次世代シフト」(『NIKKEI BUSINESS』2017年8月21日)

「無料説明会」を開催中です。

  • この記事を書いた人
  • 最新記事
サウスピーク編集室

Naoki Kitayama

本気留学サウスピークが「フィリピン・セブ島留学 / 英語試験 / 現地生活」に関する情報をお届けします。すべての英語学習者に役立つ情報が盛りだくさんです!

-インダストリー4.0, 技術トレンド

Copyright© ゼロから実現する海外就職 | フィリピン留学、セブ島留学ならサウスピーク , 2020 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.