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インダストリー4.0 技術トレンド

アメリカ版インダストリー4.0とは?本家ドイツとの違いは?

ドイツで最初に唱えられたインダストリー4.0。ドイツの動向を受けて、アメリカや日本なども同調する動きがみられます。アメリカ版インダストリー4.0とも呼ぶべき取り組みが、「インダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)」です。

IICとはどのような取り組みなのか、本家ドイツのインダストリー4.0とは異なるのか、日本との連携はあるのか等について、説明していきます。

IICとは?

GEが主導したIIC

IICは、2014年3月にアメリカで創設された団体です。多国籍コングロマリット企業であるゼネラル・エレクトリック(GE)が2012年に社会インフラ分野で、ヒトと産業機器、ビッグデータなどを結びつける「インダストリアル・インターネット」を宣言したのが、始まりです。その後、アメリカのGEにAT&T、CISCO、IBM、Intelを加えた5社によって、IICが創設されました。

IICの創設には、ドイツのインダストリー4.0が大きく影響を及ぼしたといいます。ドイツ連邦政府が2011年にインダストリー4.0を採択し、製造業のデジタル化やコンピューター化を推進するプロジェクトを立ち上げました。IICは、アメリカ版インダストリー4.0とも呼ぶべき取り組みです。

日本やドイツの企業も参加するIIC

IICは、創設されたのち、幅広い産業分野でインターネットを活用した消費者へのサービスの提供を表明し、このグループへの参加を呼びかけました。現在は200以上の団体がIICの参加メンバーとして名を連ねており、そのなかには本家ドイツのインダストリー4.0とも関わりのあるボッシュやSAP、さらには中国のファーウェイなどが含まれています。日本の企業では、日立や東芝、三菱電機やトヨタ自動車など、名だたる企業が参加するなど、ほかの団体と比較してもメンバーが多様なのがIICの特徴です。

IICの目的

IICは非営利でオープンなメンバーシップの団体で、産業分野でのIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の実現を加速することを目標に掲げています。企業だけでなく、学術関係者や政府系研究機関などがグローバルにIICに参加しています。IICに多様な団体が参加していることは、IoTのサービスの構築には、複数のセクターで取り組む必要があることを示しているといえます。

IIC以外にも、アメリカの民間企業、とりわけIT系企業を中心に、IoTやデジタル技術を使って産業を変革しようとする動きがあります。IICはそのなかでも大きなグループです。

本家ドイツのインダストリー4.0との違いは?

先述のように、ドイツのインダストリー4.0に刺激を受けて、IICは創設されました。ドイツのインダストリー4.0とIICともに、産業分野でのIoTの活用という大目標を掲げているものの、両者にも違いがあります。

国家プロジェクトとしてのインダストリー4.0

ドイツのインダストリー4.0の大きな特徴は、ドイツ連邦政府による国家プロジェクトである点です。インダストリー4.0を唱えたのはドイツのソフトウェア企業であるSAPの会長だったヘニング・カガーマン氏です。カガーマン氏の提唱に対し、シーメンスやフォルクスワーゲンなどのドイツ企業や学術機関、そしてドイツ連邦政府などが賛同しました。

この点はインダストリアル・インターネットをGEが宣言し、大企業がIICの参加メンバーになった状況と似ています。しかしドイツ連邦政府の主導のもと、国内産業の約7割を占める製造業とりわけ中小企業の強化を目的に、工場をネットワークで連携しようとしています。

オープンコンソーシアムとしてのIIC

これに対し、アメリカのIICの特徴は、あくまで企業や教育機関、政府関係者などが参加するオープンコンソーシアムである点です。IICの背景には、アメリカの土壌に通底する起業家精神があります。ロシアからの移民がGoogleを立ち上げたり、南アフリカ出身者が宇宙ベンチャーのSpaceXや電気自動車メーカーのテスラを率いたりなど、草の根からの挑戦がIICという団体の根底にあるといえます。

とはいえ、IICで実質的な推進力をもつのが、インダストリアル・インターネットを宣言したGEです。GEでは、業務用機器や医療機器などの産業機器のサービスとメンテナンスのあり方を変えるために、各機器から収集したビッグデータをもとに、保守を行なうことを提唱しています。

また本家ドイツのインダストリー4.0よりも、IICには多種多様な業界が参加しています。インダストリー4.0の場合、製造業が中心でしたが、IICではヘルスケアやエネルギー、スマートシティや輸送など、広範囲に渡っているのが特徴です。

国際標準化に向けた連携

インダストリー4.0に相当する取り組みを行なうのは、アメリカのIICに限りません。そこで問題化してくるのが、世界標準をどう決めるかです。

日本でもインダストリー4.0に追随した動きが

ドイツが提唱したインダストリー4.0が話題になった当初、アメリカや日本などの国は独自で対策を取り組んだため、目的や方向性などバラバラでした。そのため、国際標準の主導権争いが激しくなりました。

上述のように、ドイツとアメリカとでは主導する団体や、カバーする業界も異なります。日本でもインダストリー4.0に類した取り組みは、いくつか行なわれています。インダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ(IVI)は2015年6月に、日本機械学会生産システム部門「つながる工場」研究分科会の活動を母体として、発足しました。また経済産業省と総務省によってIoT推進コンソーシアムが2015年10月に発足しました。

IVI、IoT推進コンソーシアムともに民間主導の団体ですが、2017年3月になりようやく、国主導による「コネクテッド・インダストリーズ(Connected Industries)」が発表されました。ドイツ情報通信見本市の席で発表された「Connected Industries」は、さまざまなつながりによって新たな付加価値の創出や社会課題の解決がもたらすもので、官民で取り組むとされています。

IICとインダストリー4.0とが連携

いずれにせよ、主導するのが国なのか任意団体なのかに加え、製造業に絞っているのか、幅広い産業をカバーするかなど、ドイツとアメリカ、あるいは日本とでも違いがありました。当初は重複する部分が少なかったものの、規模が大きくなるにつれカバーする領域も広がりました。その結果、重なる部分が出てきました。事実ドイツのボッシュやSAPはインダストリー4.0において象徴的な企業ですが、IICにも参加しています。

このような経緯もあって、インダストリー4.0とIICとが接近し、2016年3月にIoTの国際基準を策定するために協力することで合意しました。このような国際標準化の動きは、ますます進むとみられます。

アメリカ版インダストリー4.0の今後の展望

アメリカ版インダストリー4.0に向けた多種多様な動き

アメリカ版インダストリー4.0に相当する団体は、IICだけではありません。アメリカ政府も、「Smart America Challenge」と呼ばれる取り組みを行なっています。Smart America Challengeは、スマートシティの実現に向けたIoTを活用した研究プロジェクトです。

公共交通機関や医療、産業分野、エネルギーなどの分野を対象に、企業、大学、研究機関などがSmart America Challengeに参加しています。またIICはシステムの構築に関わる団体ですが、標準化ではOpenM2MやThread Group、IoTのプラットフォームに関してはOpen Connectivity FoundationやAllseen Allianceなどが発足しています。

IoT事業から撤退する動きも

2016年1月にラスベガスで開催されたCES2016(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)では、自動運転車やドローンなどのIoT技術が組み込まれた商品やテクノロジーが話題になりました。パフォーマンスの大きさでは、ドイツのインダストリー4.0に比類するインパクトをIICはもっています。

その一方で、IoT事業では主導権争いが熾烈になり、脱落する企業も出てきています。IntelはIoT対応のプロセッサとしてQuarkやEdison、Curie等を投入しましたが、すべて販売終了になっています。2018年4月には、傘下であった組み込みOS老舗のWind Riverを売却し、IntelはIoTから事実上脱落しました。

IICを主導したGEもまた岐路に立たされています。GEはIoTに巨額投資したものの、利益率は4.2パーセントに過ぎません。その一方でドイツのシーメンスが9.7パーセントの利益率をはじき出すなど、勝ち負けが顕著になりつつあります。その結果、財務基盤の強化のために、GEは医療機器事業の分社や一部売却まで検討しないといけない状況になっています。

産業用電機業界をにぎわせているのが、Amazonやマイクロソフトといった巨大IT産業です。クラウドサービスで圧倒的なシェアを握るこれらの企業がIoTに参入するなど、IoTクラウドがすべてのマーケットをかっさらう状況になりつつあります。シーメンスもGEもM&Aにより事業を拡大してきましたが、資本や人材を集めるだけでは成功しないことをGEの事例は示しているでしょう。

日本も今後の方針を早急に練る必要が

日本でもIVIやIoT推進コンソーシアムなど、日本版インダストリー4.0に向けた流れがあります。その一方で、インダストリー4.0の主導権争いで脱落組と勝ち組が鮮明になりつつあります。日本では日立がIoT事業で8.0パーセントの利益率を出すのに対し、東芝は1.7パーセントの利益率にとどまるなど、明暗が分かれています。

ドイツとアメリカとの主導権争いが厳しくなるなか、ある程度世界標準化が完成しつつあり、やや遅れている日本も早急に方針を練ることが求められるでしょう。

参考資料

IoT の全体俯瞰

IIRAとは何か?米国IICのIoTガイドで押さえるべき、基本・要点・実践事例とは

IoT(Internet of Things)を巡るドイツとアメリカの戦い

インダストリー4.0の最新動向、日独米それぞれの取り組みを比較・考察する

IoT 先行企業の狙いを見極める。

2大勢力の合併でIoTの標準化が加速―AllSeenとOCF

米国におけるIoT(モノのインターネット)に関する取り組みの現状

激変する世界IoT市場の「序列」(『週刊ダイヤモンド』2018年11月10日号)

出遅れるGE・東芝に逆風(『エコノミスト』2019年1月5日号)

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サウスピーク編集室

Naoki Kitayama

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