名前 Shuheiさん
年齢 42歳
職種:インサイドセールス(内勤営業)
就労国:マレーシア・日系ITサービス→シンガポール・米系ITサービスへ転職

サウスピーク海外就職プランにて業務提携しているグローバル人材塾の協力のもと、マレーシアで働く日本人の方々にインタビューをさせていただきました。

今回は、マレーシアで3年半のキャリアを経て、シンガポールの米系企業へ転職されたShuheiさんにお話を伺いました!海外でも大きく違う、日系企業と外資系企業のワークスタイルの違いに注目です。(神農)

十数年日本企業で働いてきたShuheiさんが見た、外資系企業から見た日本市場

ーー本日はよろしくおねがいいたします。現在のShuheiさんのお仕事について、まずは教えていただけますか?

今はシンガポールにあるアメリカ系ITサービス企業で、ポジションはインサイドセールス(内勤営業)です。いまのところ日本市場を担当しているのですが、後々は他の国も担当すると思います。仕事の内容としては、IT大手企業からライセンスや保守の更新業務を受託して、その更新率向上を請け負い、収益向上に貢献することをミッションとした仕事です。

ーーシンガポールにある米系企業だと、社内は外国人社員ばかりですか?

フロアには全員で160人くらいいますが、私が認識している限りでは、自分以外は全員外国人です。上司はシンガポール人、マネジャーもシンガポール人で、トップマネジメントは米系企業なのでアメリカ人です。

ただ実際、隣はフィリピン人、前は韓国人で、タイ人も、インド人もいるし、同じオフィスでいろんな国籍の社員がいろんな言語を話しているので、誰が何人か聞くのも面倒だし、もうどうでもいいやって(笑)韓国人は韓国市場担当、フィリピン人は英語ができるので英語圏も担当・・・と、自分が話せる言語に応じて分かれています。

なんていうんだろ・・・日本企業だとあの社員はどこの国の人だということが注目されますけど、こういう環境だと互いの出自の関心レベルが低くなりますね。

ーーアジアの各国市場ごとに、ネイティブスピーカーが担当しているんですね。お話を伺っていて思ったのですが、日本では「日本人に対する日本人的な仕事なんてなくなる」なんて言う人もいますよね。

それはないと思っています。しかし日本市場は縮小していると捉えられているので、日本市場向けの仕事が日本からシンガポールに移るという流れはあります。

IT業界でいうと、今まで外資系企業のアジアパシフィックの拠点はシンガポールにあって、同じレイヤーとして、日本に法人を立てて日本を見るというマネジメント方針が多かったんです。しかし、ここ数年はシンガポール拠点に日本法人の一部の機能が吸収されて、APJ(Asia Pacific Japan)という部署名に変わっています。日本市場もタイやマレーシアと同じように、シンガポールから遠隔で見ればいいやと。これがグローバルIT企業の流れです。

今まで日本は経済大国だったけど、タイやマレーシアは小国だからまとめてシンガポールで管理するという流れでした。日本からは少し身を引いて、シンガポールからサポートすればいいという流れになってきているんじゃないかと個人的に見ていて思います。だから、外資系企業における日本市場向けのインサイドセールスの仕事は一定数ずっと海外にあるんじゃないかと。

ーー日本も、既に他アジア諸国と同列として認識されているんですね。英語が使える日本人ビジネスパーソンは、外資系企業日本法人ではなく、シンガポール拠点で働く機会は増えるのかもしれません。

SkypeやSlackなどのコミュニケーションツールが登場したおかげで、ある程度のレベルにおける意思疎通はインターネットさえ繋がっていればできてしまいますからね。私も現職では月水金がインド、火木が中国と打ち合わせをしています。主なツールはSkypeです。

今日こうして海外でお会いしたのだって、ただ単にフィリピンとシンガポールでFacebookメッセンジャーでやりとりしていたわけ20年前じゃ考えられない状況なんですよね。20年前フランスのホテル予約しようと思ったら、FAXかエアメール使ってて、手紙書いてフランスに送ってたんですよ(笑)それから考えると、コミュニケーションツールの発達はすごいですよ。

「80%の品質でガンガン進めていく海外」と「100%の品質を求めて着実に進めていく日本」の狭間で仕事をするということ

ーーそんな先端を行くアメリカ企業でShuheiさんが採用されたのは、なぜですか?

日本語ネイティブスピーカーであり、日本企業で経験を積んできた、日本文化をよく知る者として働けるからではないでしょうか。私が思うこととしては、「日本語を話せる」ことと「日本文化を知っていること」は別物です。前任者は外国人・日本語スピーカーでしたが、かゆいところに手が届いていなかったかもしれません。

ただやってみると、本当に日本人としての日本品質を維持するのが正しいかわかりませんけどね。海外外資系企業に在籍し、日本で働く日本人と働く私の立場において、「80%の品質でガンガン進めていく海外」と「100%の品質を追求し着実に進めていく日本」のギャップは存在しています。言語の問題ではなくて、文化の問題。自分の仕事の仕方をどちらに振ろうかというのは、目下考え中です。

ーーどういうところで違いが出てくるんですか?

日本人なら仕事が滞留していてお客さんからクレームも来ていると、徹夜してでも終わらせてスッキリさせたくなります。私も入社して間もないですが、前任者からの引き継ぎで仕事が滞留しています。

しかし、現職では勤務時間8時間(9時〜18時)の中で、優先順位をつけて処理していくんです。そして駄目なら次の日に回すんですよ。自分はそれが気持ち悪く感じるんですよねえ。

この前、1時間残業したんですよ、19時まで。通りかかったシンガポール人上司に、「1時間も残業してるの?ここは日本企業じゃなくて、アメリカ企業だぞ?残業なんかしているのは、日本と韓国と中国くらいだぞ」と言われました(笑)

ーーははは(笑)

でも、仕事終わってないんですよ?(笑)米系企業はセキュリティも厳しくて、帰宅後は仕事できないですし。なので、完全9時〜18時です。

これがまた不思議で、始まる時間は曖昧なんです。バスが遅れれば遅れて始業します。日本と完全に逆なんですよね、日本は始まる時間はきっちりで、終わる時間はゆるい。この会社は挨拶もしないでいつの間にか始まって、終わる時間はきっちり。
ーー9時〜6時で成り立っている米系企業と、残業しても四苦八苦な日本。ある意味その板挟みですね。

限られた8時間で生産性を高めてやっていくしかないんでしょうね。6時には諦めるしかないですから。考え直してみると、18時以降の生産性は高くはないからもしかしたら限られた時間で全力で頑張って、休んでも、そこまで変わらないのかなと思うに至りました。

「20年越しにストレスフリー」な外資系企業のナレッジマネジメントと、日本企業の職人の世界

ーー日本も、18時には諦めて帰るべきなんですかね?

優先順位の付け方なのかもしれません。そもそも、外資系企業と日系企業ではナレッジマネジメントにおいて、根本の思想が違います。今私がいる米系企業ではあらゆることがシステム化されているんですよね。

業務とは関係ない人事・経理の話から新入社員のパソコンのセッティングまで、社内のポータルサイトですべて解決されるんです。その経験はすべて社内に蓄積されます。しかし、日本企業だとメールや電話でやりとりをして、その解決ノウハウも可視化されない。そのせいで、誰かが「10の労力」をかけて解決した問題を、他の人も同じ労力をかける必要があるんですよね。だから組織の生産性が上がらない。

前職の日系企業でもグローバルに使える社内ポータルサイトがあったものの、なぜか駐在員しか使えなかったです。論理的に考えるとあらゆるノウハウは社内に蓄積して、誰でも閲覧できるようにした方がいいんですが…おかげで現職ではその点でストレスフリーです。

日本って、駐在員と現地採用で階級みたいなのがあるの、あれは日本ならではで変ですよね。

ーー職人、徒弟制みたいですね。「俺と同じ轍を踏め」みたく。

確かに、職人の世界みたいですね。ナレッジマネジメントの観点では「暗黙知を形式知化して、資産とみなす」外資か、「暗黙知を持つ人が偉い」日本企業か、大きく違います。前者の環境で働けて、20年越しにストレスフリーです(笑)

そういう背景もあって、どこまで日本人的な仕事スタイルに合わせていくかは、考え中なんです。昇進できたら、日本市場のみならず、ASEANの他の国の市場も見なければなりません。「日本人として日本市場わかってます」だけじゃ意味がないんですよね。

ーーなるほど、それは一般的な海外就職の「その次」の視点ですよね。

ライバルはシンガポール人やアメリカ人です。上に行くならタイ市場、インド市場はどうなのかとうことも考えなければいけなくて、日本的な価値観なんてどうでもいいんですよね。日本市場は右肩下がりなので、どこで切り捨てるかという判断があるかもしれませんし、いつどうなるかわかりません。

ーー日本人として海外で働いていて、グローバル市場に踏み込むのはそこなんでしょうね。

昇進すれば見える景色ががらっと変わってしまいます。給料も上げていきたいし。

(後編に続きます。)