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建築エンジニアに英語力が求められる理由、その業界背景

少子化が進み、日本国内における人口が減少していく、というのは数年前から懸念されていました。しかし、単に人口の減少による就業人口の不足だけではなく、現在では、如何に優秀な人材を確保するか、という視点に移り変わってきています。

日本の少子化と業界人口の高齢化

発展途上国での人口増加に加えて、途上国での人口減少が話題になっていますが、日本の場合は、医療の進歩やライフスタイルの変化による急速に高齢化社会が進んでいると言われています。また、社会構造や価値観の変化による少子化の影響から、50年後は2.5人に1人は65歳以上に、生産人口は現在の半分程度まで低下するとも言われています。

一方で、インターネットを始めとする技術の進歩により、多くの仕事がAIにとって代わると言われてもいますが、どの業界においても、「どの部分を機械化し、どこに人を配置するのか、どのように人材を確保するのか」という問題の転換期にあると言えるでしょう。

建設業界も例外ではなく、国土交通省の資料によると、建設業界における技能労働者就業人口は2015年度で330万人程となっており、その内24%が60代以上を占め、全体の26%を占める40代の就業者も将来的には管理業務へ移行していき、実際に現場で作業する人が減少することが考えられます。

技能労働者である以上、高齢化による就労人口の減少の問題だけではなく、今までの高度成長期などで見られた日本のインフラを支えた技術の継承にも問題をきたすとも言われています。また、高齢化により業界の大部分を占める中小企業において、担い手不足や技術の進歩について行けず倒産に追い込まれるケースも見られます。

国土交通省(「建設業界の現状と課題(資料4)」より

建築業界の人材不足の現状

建設業界では約3割が55歳以上となっていますが、20代の割合は、全体の10%程度(全産業割合16%)と際立って少なく、今後の建設業界における人材不足は加速すると見られています。また、大卒求人数と新卒民間企業志望者数の関係についても、近年の建設需要の高まりから求人数が増えているにも関わらず、希望者数が減少しているのが現状です。

国土交通省(「建設業界の現状と課題(資料4)」より

リクルートワークス研究所(大卒求人倍率調査)より

就労者の高齢化と次世代担い手の若年層の減少により、建設業界では深刻な人手不足となっています。

各企業もそれぞれ対策を講じていますが、国レベルでも法整備が始まりつつあります。

若年層の就労希望者の減少の原因のひとつに3K(汚い、きつい、危険)のイメージが払拭できないことが挙げられます。建設技術者は机上の仕事だけではなく、建築現場を監督すること、実際に作業を行う人まで多岐に渡り、施工管理職や内装業に見られる現場労働者のイメージが強く残っているのも大きな要因でしょう。また他の産業と比べて、平日の長時間労働、休日出勤の常態化にみられる労働する環境の問題も無視できないでしょう。

国土交通省の建設業に対する働き方の改善方針は大きく4つに分類されます。

① 賃金

公共事業については、工事設計労務単価の設定を変更し、より公正な金額を確保できるように促進しています。一方で、労務単価を上げることは業界のボトムアップには繋がりますが、決まった単価を如何に熟して仕事を多く受注するかというように読み替えられ、根本的な職場環境の改善にはつながらないと問題視する意見も出ています。

②雇用の安定化

建設業の景気は、公共事業や住宅供給、国を挙げての大きなイベントなどに左右されると言われ、その特需時の人材を如何に確保するかが大きな課題となっています。各企業では、国外に現地法人を設置し、日本国内だけではなく国外のプロジェクトに積極的に参加をし、利益と雇用の安定化を図る動きも見られます。

③ 労働時間・休暇

業種や納期等勘案条件は多くありますが、多くの業種では週休2日制が採用されています。一方で、建設特に現場サイドは、納期が厳しいことが多く、土日返上で納期に合わせる方法が多く取られているのが現状です。公共事業や都道府県発注工事については週休2日制モデルの工事促進を打ち出しており、休暇の確保という意味では改善が進んでいくと思われます。

④ 職場環境

他の業界と共通で、女性の活躍を促進するため、企業内での意識改革を進めています。一方で、建設工事(泥臭い作業)が仕事である以上、改善には限界があるとも言えるでしょう。

⑤ 生産性の向上促進

BIM(Building Information Modeling)やCIM(Construction Information Modeling)の促進やビッグデータによる分析、携帯端末を使用した現場管理システムの導入など、徐々に進んでは来ているものの、IT技術が作業員の管理や作業のしやすさをアシストするにとどまっており、作業すること自体の人員の削減には程遠いのが現状です。将来的には設計段階からモデリングシステムを導入し、効率化やデータ共有の一元化を進める試みが始まっています。

外国人労働者の確保状況

 人手不足の国による対策として、2015年より「外国人建設就労者受入事業」が実施されました。五輪、その後の国土強靭化事業による一時的な建設需要の増大に対応するため、国内での人材確保を基本としつつ、人材の補填策として外国人材を取り入れるのを目的にしているものです。

外国人労働者全産業人口の45%程度が建設業に従事しており、「技能実習生」と「外国人建設就労者」に分けられています(2017年度)。

また、技能実習生の割合が多く、建設関係職種に従事する者は機械・金属関係職種に次いで多い割合を占めています。

国土交通省(「建設分野における外国人材受け入れについて(資料8)」より

国土交通省(「建設業界の現状と課題(資料4)」より

一方で、即戦力の確保を前提としていることから、一定の技術があること、日本語能力水準を満たしていること、外国人建設労働者については基本的に家族同伴を認めず在留通算期間の上限を5年としているなど、厳しい条件を設定しており、人材確保のプロセスそのものについて問題視の声も上がっています。

また、技能実習制度については、人材育成や発展途上国の経済発展を支援する国際協力を目的としており、労働力の需給の調整手段としてならないことになっています。これを前提として、低賃金や仕事の範囲の制限など、問題を抱えている側面も認識しておく必要があるでしょう。

まとめ

建設業界においても人材不足は深刻な問題となってきています。就業者の高齢化と若年層の建設業界への希望者数の減少も重なり、ますます人材不足が進んでいくと考えられています。

人材不足への対策は大きく分けて3つ挙げられます。

①政府の対応

 労働環境の改善に注視

②外国人労働者の受け入れ

 一時的な対策としての色が濃く、長期に渡っての人材確保・育成には繋がらない懸念点が残る。

③AI等を利用した自動化

 CADの導入等建設業界におけるIT化は以前よりかは進んできてはいるが、人材補填できるレベルまでの自動化には法の整備を含め時間がかかる。

建設業界で働くにあたり、人材不足に対して今後どのように社会が動いていくのかを見据えて行動する必要があるでしょう。