2010年11月5日に東京九段下にあるDiscover21にて行った講演会の原稿をこの記事で公開します。なおblog記事向けに若干手直ししています。

最初の挨拶

最初に書籍の紹介を改めてします。英語学習書は世の中にたくさん出ていますが、この本「20歳を過ぎてから英語を学ぼうと決めた人たちへ」の一番の特徴は「英語の先生が書いていない事」です。私はここにいるみなさんよりも半年?2年くらい先に行っているにすぎない「英語学習者」の1人だということです。というわけで今日は「英語の先生」ではなく、みなさんと同じ「英語学習者」の視点からお話をさせていただきます。

書籍を書いた理由

私は大学卒業後に受けたTOEIC試験では630点でした。私は大学受験の英語と大学での英語学習でこの点数まで到達しました。そしてはじめてTOEIC試験を受けた後は基本的にはAudio bookを聞いて英語書籍を読み込むのと、TOEICの試験勉強をして、TOEICの点数を780点まで上げました。これが2009年2月の話です。

さてこの時点の英語力はというと…自己紹介も満足に出来ませんでした。自己紹介は最も簡単な英語での表現の一つです。そんな自己紹介さえも満足に出来なかったのです。

試験で良い点数を取ってもさっぱり話せるようにならないんだなとその時に思いました。その時に分かったのは、大学受験の勉強やTOEICの試験勉強だけでは「読む」・「聞く」はなんとか出来るようになっても、「話す」・「書く」はさっぱり出来るようにならないということです。この「話す」「書く」方法の学び方について取り扱っている本を私は2009年2月の段階では見つけることが出来ませんでした。

また、英語の専門家が書いた本というのは「文法」「発音」「英単語」「英文読解」「試験対策」と個別の分野についてはよくまとまっていても、「じゃあ実際どうすれば英語が出来るようになるの?」という問いに答えてくれる本はほとんどないのではないでしょうか。私は去年の2月当時にはそういう本を見つけることが出来ませんでした。

だから自分でこれらを身につける方法を探し続けることになりました。そしてそのノウハウをそのまま自分一人で埋もれさせるのは惜しいと思ってまとめたのがこの本、「20歳を過ぎてから英語を学ぼうと決めた人たちへ」です。

英語での自己紹介

ではここで金曜日の夜という事でみなさんお疲れでしょうが、頭の体操を兼ねて「英語での自己紹介」をみなさんにも実践していただこうと思います。私が1年9ヶ月前にどういう状態だったのかをみなさんにも体験していただきたいです。では隣の人と組になって、1人2分間、英語で自己紹介をしてみてください。

(英語での自己紹介を1人2分間行ってもらいました)

おそらく2?3割の人がちゃんと英語で自己紹介出来たと思いますが、いかがでしょうか。全く出来なかった人も落ち込まないでください。私も去年はほとんど全く出来ませんでしたから。そして書籍の中で紹介している「瞬間英作文」や「Lang-8」での学習を続ければ、徐々に「話す」「書く」はできるようになります。

書籍を読み終わった方々に知ってほしいこと

ここから書籍を読み終わった方々に知ってもらいたいこと、「英語が身につく人と身につかない人の違いについて」については話します。

英語を身につけるためには何よりも「強い意志」が必要だと私は考えます。ここでいう「強い意志」とは「不愉快な環境に自分を置くことができる"強い意志"」です。不愉快な環境とは何かというと、「英語を使わざるをえない環境」のことです。 たったいま英語での自己紹介を行う事でみなさんにもその「不愉快な環境」を体験してもらいました。

移民の街 New York

私は去年はNew Yorkで過ごしました。この件に関わりそのNew Yorkの移民たちの話をします。New Yorkは移民の街で、街にはNative English Speakerでない人達で溢れかえっています。New Yorkの中心にあるManhattanという島では150もの言語が話されていると言われています。そしてあるNPOが書いていましたが、New Yorkerの370万人が英語での読み書きを不自由しているとのことです。New Yorkの人口が800万人ですから、かなりの割合だということが分かります。

その中でも中国系の移民達について話します。NYには中国系の移民が公称20万人、不法移民も含めると約40万人がいると言われています。

私は中国系の人達と交流があったので彼らのことについてはよく知っています。中国系移民の中には10年以上New Yorkに住んでいるにも関わらず、英語がほとんど出来ない人がいます。NYには40万人の中国人が住んでいるため、中国人街で過ごせば全て中国語でやり取りできるので、英語を使わなくても生きていけるのです。私自身の体験について述べると、私はManhattanの中国人街、Canal Streetの理髪店に行った際には英語が通じない美容師に髪を切ってもらいました。その時は中国人の友人に通訳になってもらいました。

よく「外国に行きさえすれば英語くらいなんとかなる」と思っている人がいますが、たいてい指差しと簡単な英語でなんとかなるので、英語は身につかない事が多いです。そして英語が出来ない中国系の移民をみていて、自分にとって居心地の良い環境に居続ける人、英語を使わなくても良い環境に自分を置き続ける人達は英語を身につける事が出来ないのだなと思いました。

日本で英語を身につけるために必要なこと

ここで話を日本に戻します。日本で英語を身につけるのは難しいです。まず日本の学校教育を受けただけの人では十中八九、英語は身につきません。新卒大学生のTOEIC試験の平均点数が470点程度という事がこの事を示しています。これは5段階評価で言うと2に相当します。またこの事は今夜最初にみなさん自身が行った英語での自己紹介で明らかでしょう。日本において英語を身につけようと思う人は学校教育以外の場所で「自学自習」をする必要があります。

そしてNYの中国人街と同じように、日本では別に英語を使わなくても生きていけます。学校の勉強以外に「自学自習」して、そして「強い意志を持って」「自分を不愉快な環境、英語を使わざるを得ない環境に置くことが必要」です。これらが出来ない人は英語を身につけることは出来ないでしょう。逆にこれらが出来る人は日本にいながらにしても英語を身につけることが出来ます。

Internetや最新のWeb Serviceを使えば日本にいながらにして生の英語に触れることは可能です。最近ではSkypeを使えば格安の英会話Lessonを受けることが可能です。そこまでしなくてももっと簡単にやろうと思えば、最初に行った英語での自己紹介のように日本人同士でも十分英会話の練習は出来ます。

学ぶ意志さえあれば別に留学をしなくても英語を身につけることは出来ます。この事を知っておいてほしいです。

学ぶことに貪欲な人だけが英語を身につける事が出来る

英語が身につく人、英語が身につかない人の違いについてもう一つ述べると「学ぶことに貪欲な人」が英語を身につけられると思います。ここで私が好きな羽生善治さんの言葉を紹介します。

三流は人の話を聞かない。

二流は人の話を聞く。

一流は人の話を聞いて実行する。

超一流は人の話を聞いて工夫する。

羽生善治

この羽生さんの言葉と関連して「C」の字を頭の中に思い浮かべてください、この「C」の字の欠けている部分にばかり目がいく人は基本的に駄目だと思います。英語学習者で欠けている部分にばかり目がいく人達は完璧に準備されていないと勉強を開始しません。blogや書籍を書いていて、粗探しばかりしている人が何人もいることに気付きました。彼らは「自分が勉強したくないから、ありとあらゆる理由をあげて勉強しない理由を作り上げます」。

私は別に英語の勉強はしなくても生きていけるのなら、しなくても良いと思っています。その代わりに自分が必要としている事を勉強すれば良いと思っています。ただそういう事をしないで、批判ばかりしている後ろ向きな人も世の中にはいるのだなぁとTwitterやblogを通じて知りました。そしてこういう人達は「三流は人の話を聞かない」に該当します。

一方、この人達は将来的には英語を絶対身につけるだろうなと思う人達は「C」の文字の欠けてない部分に注目してくれる人達です。

例えば、この「20歳を過ぎてから英語を学ぼうと決めた人たちへ」はDiscover21から書籍として出版されるくらいに評価されました。そして書籍の中で色々と新しい勉強手法を紹介しています。もちろんこの書籍はいくつか物足りない点もあるなと私も思います。完璧な書籍ではありません。最近考えているのはこの「20歳を過ぎてから英語を学ぼうと決めた人たちへ」は「英語上達完全マップ」と組み合わせてはじめて過不足のない英語学習が出来るのだと思っています。「英語上達完全マップ」で英語を日本語に訳さずに、英語を英語のままで理解できることが出来る「英語回路」を作る基礎的な勉強をする。そしてその上でさらに英語力を高めるために「20歳を過ぎてから英語を学ぼうと決めた人たちへ」を実践すると効果的だと思います。

話を戻すと、学ぶ意欲が旺盛な人達は書籍に欠けている点ではなく、欠けていない点、つまり新しい勉強法に注目して、批判や文句を言って時間を浪費することなくすぐに勉強を始めます。また中には書籍以上の内容を学ぼうとどんどんと質問してくる人もいます。振り返ってみると、New Yorkの移民たちで英語を身につけられる人達、また米国社会で成功する移民たちはそういう人達が多かったです。彼ら学ぶ機会があれば絶対に逃しません。貪欲に学ぶ機会に食らいついてきます。

例えば書籍の中にも登場している@rami2929さんについて紹介すると。彼はLanguage Exchangeの記事を私のblogで読んで、すぐに開始しました。そしてさらに自分で工夫を加えて、今ではOnlineでLanguage ExchangeのMatching Serviceを立ち上げようとしています。Lang-8のSpeaking版を想像してもらうと分かりやすいと思います。@rami2929さんは先程の羽生名人の言葉を借りれば「超一流は人の話を聞いて工夫する」を実践していると思います。 

New Yorkで接した移民たち、また書籍やblogを通じて多くの英語者と接して、「自分がやりたくない言い訳を時間をかけてする」のではなく、「学ぶべき点があれば貪欲に食らいついていく人達」は英語を身につけたり、社会で成功できるのだなと思いました。

私は自分の連絡先、TwitterのIDやMail Addressを公開しています。だから質問はいつでも受け付けていますし、またこれまでもらった質問には全て返信しています。そして学ぶ意欲がある人達は実際に問い合せてきています。一方、「細かな欠点をあげて、やりたくない理由を全力で創り続ける人達」から質問が来たことはありません。せっかくInternetがあるおかげで著者と簡単に連絡が取れるのに、なんとももったいないなと思います。

みなさんがどういう生き方を選ぶのかは私は分かりませんが、私としては「貪欲に学び続けて、そして実際に行動し続ける生き方」の方が面白いと思っています。そしてそういう人達こそが、英語を身につけたり、社会で面白いことが出来ると信じています。

先程の羽生善治さんの言葉を私なりに言い直すと、以下のようになります。みなさんはこの中ではどういう人になりたいですか。

批判ばかりで自分から提案しないし、行動もしない人

知恵を絞って提案する人

失敗を恐れずに行動する人

勇気をもって改革する人

@HAL_J

書籍やblogに関する質問はいつでも受け付けているのでTwitterやMailで問い合わせください。可能な限り回答します。

まとめ 英語を身につけるために必要なこと

ではまとめです。英語を身につけるために必要なことを以下にまとめます。

「自分を不愉快な環境(英語を使わざるを得ない環境)における強い意志」と「自学自習」「学ぶことに貪欲であること」

                           +

適切な学習ノウハウ 「英語上達完全マップ」+「20歳を過ぎてから英語を学ぼうと決めた人たちへ

日本に居ながらにしても、今なら十分に英語を身につけることは出来ます。英語の学習は楽ではありませんが、身につければたくさんの可能性が開けますので、是非英語を身につけてください。最後に私のNew Yorkの友人から教えてもらった言葉を紹介します。

Once you learn English, many doors will open!

次の記事では後半に行った講演会と質疑応答について記します。