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・日本とスウェーデンで大学生活のシステムに大きな違いがある

・日本と異なる指導スタイルに触れ人脈もできた ・大学院に進学するために勉強中

 

Hej!(スウェーデン語でこんにちは!)連載も3回目となりました。亀山頌互です。前回までは、私がサウスピークでの1ヶ月を経て交換留学を決めた道のり、そしてストックホルムでの留学生活について振り返りました。最終回となる今回は、大学の学業面と留学後の進路についてです。

⇒ 第一回 航空宇宙工学を専攻する大学生、交換留学を目指してまずはフィリピンで英語留学をする

⇒ 第二回 スウェーデン王立工科大学での留学生活について

大学の違い―授業の違い、生徒の違い

私が交換留学をしていたのは、スウェーデン王立工科大学(英語:KTH Royal Institute of Technology, スウェーデン語:Kungliga Tekniska högskolan)で、首都ストックホルムにある理工系の総合大学です。2014年8月―2015年6月の11ヶ月間、主に航空宇宙推進機関(ジェットエンジン、ロケットエンジン等)について学んでいました。

大学の学部は3年間で、スウェーデン語で授業が開講されています。その後、大学院の修士課程は2年間で、スウェーデン人学生と留学生が共通の講義を受け、全て英語で実施されています。私は日本だと学部4年生でしたが、留学中は英語で開講されている修士課程の講義を履修していました。

日本の大学で受けていた講義と内容では共通するものが多かったですが、大きな違いはシステム面にありました。KTHでは週によって授業の回数や曜日が異なるため、スケジュールを毎週確認することが必須です。複数の科目の日程が被ってしまうことがよくあるため、自習できるようにITの活用が進んでおり、講義資料・ノートは全てネット上にアップロードされます。科目によってはビデオが録画されていることもありました。

しかし同時に、今まで学んでいた日本の大学の優れた点を実感したことも事実でした。学生の平均的な数理能力に関しては、日本の教育レベルの方が高いと私は思っています。日本の学部で受けていた講義の方が、スウェーデンの大学院よりも学術的に高度な内容だったと感じたことも時々ありました。

ただし、KTHにおいて講義に対するモチベーションは学生・教員ともに高く、授業の密度の濃さ・フォローアップの手厚さについては日本の大学が見習うところが多いでしょう。また、キャンパスの国際化については日本が圧倒的に遅れていると言わざるを得ません。

恵まれた環境で学び、多くは良い評価となって返ってきたのですが、その中で失敗という意味で印象に残った科目を2つほど紹介します。成功体験は巷に溢れていますが、意外と役立つのは失敗談だったりするものです。これが何らかの形で皆さんの役に立てば幸いです。

1つ目はAerodynamic Design of Aircraft です。これは航空機の空力設計に関するものなのですが、今まで学んできた流体力学の知識を実際に機体の形に落としこむことで理解が深まりました。 ここでの失敗は、授業中のペアの日本人同士で固まりすぎてしまったことです。課題を進めるには効率が良かったですが、その他の参加者となかなか打ち解けることができませんでした。日本語を安易に使うのは禁物です。

2つ目はHuman Spaceflightです。有人宇宙飛行について、元宇宙飛行士の教授が授業を担当します。こちらはグループワークのレポートで苦労しました。月面基地の計画を立てるのが目的だったのですが、私のチームは航空宇宙工学に関する技術的なバックグラウンドが弱いメンバーが多かったのです。

私が仕事を割り振れば良かったのですが、当時の英語力の拙さも邪魔して、結局、レポート執筆で技術面をすべて担当することになり苦労しました。これから留学される方は、意思疎通の大切さを再度確認していただきたいと思います。

私が研究をはじめるまで

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失敗もありましたが、幸い上手くいったことも多くありました。KTHを選んで正解だった理由のもう1つが、日本で所属する研究室の専門分野(ガスタービン・ジェットエンジン等)でトップレベルの大学であったことです。指導教員から知り合いの先生がいると聞いた私は、すぐに先方に受入れのコンタクトを取りました。しかし、交換留学、それも学部生では研究活動に関わることは難しいのが現実です。ここから私の地道な活動が始まりました。

まずは、渡航前にメールで連絡の後、8月に初めて対面し、「個人的に研究(プロジェクト)をやらせてほしい」と先生に伝えることからです。これは交換留学の義務ではなく、単位を必要としていないことも話しました。

しかし先生も忙しく、簡単に指導を引き受けることはできません。私も留学生活に慣れる必要があり、最初の半年ほどは定期的に課題をもらい、ソフトウェアの習熟と知識の修得に努めました。また、その先生の担当する授業では質問をし、理解度が伝わるように心がけました。しかし中々話が進まず、悶々としていた頃、再度「プロジェクトをやりたい」との旨を伝えた私に、ようやくゴーサインが出たのです。

新任の教授に紹介していただき、彼が教える外部履修不可の科目(特定の修士課程用のプロジェクトコース)の聴講と、それに関連する研究テーマのプロジェクトを許されたのでした。気が付くともう3月。帰国まで4ヶ月を切っていました。

それからは他の科目に割く時間以外の大半を個人のプロジェクトに充てました。周囲の日本人留学生たちは帰国を前に羽を伸ばしていましたが、付き合いも程々にパソコンでシミュレーションソフトと向き合う毎日。教授との個別のミーティングで毎回指摘をもらい、それを次回までに修正するという作業を続けました。

計算の方法について、結果の見せ方について等々、丁寧な指導を受けることができたのは何よりも貴重なことです。大変だからといって手を抜いたら後で後悔するのは目に見えていました。今までマメに続けていた自炊もぱったり止め、あっという間に4ヶ月が過ぎました。やりたいことが出来るのは何より充実するものです。

結果的に、100%満足の行く形とまではいきませんでしたが、限られた時間の中で最低限は達成できたと感じています。なによりも、「Shogoはよい仕事をした」と教授に言っていただけたのが自信になりました。私が途中まで進めた研究は、その後インターンの学生が引継ぐこととなり、国際会議の報告では共著者の1人となりました。日本とは異なる指導スタイルに触れ、今後の研究生活に活かせる人との繋がりができたことは大きな財産になったと思います。

留学後、今後の抱負

現在、私は日本に帰国して4ヶ月程になります。この連載を書くにあたり、交換留学の成果について定量的にまとめることが必要だと感じましたので、以下に記します。

授業:63単位(ECTSヨーロッパ単位互換制度において、60単位は正規の学生1年分にあたります。)
研究:英文でレポート50ページ程度。内容の一部は帰国後、国際会議で発表されました。
英語:帰国後TOEFL ibtで100点超を取得。

あまり遊ばない留学生でしたが、自分なりに楽しんでいました。遊んだほうが友達はもっと多く作れたかもしれないですが、量より質ということで。

(番外編)
留学期間で訪れた国:スウェーデン、クロアチア、イタリア、エストニア、ロシア、フィンランド、ノルウェー、スペイン、ベルギー、オランダ、ドイツ、デンマーク、アメリカ(訪れた順番による。乗り継ぎ等は含まない。)

私はいま大学4年生ですが、今後も大学院に進学予定のため準備を進めています。帰国後すぐに大学院の入試、現在は卒業研究と予定が目白押しですが、スウェーデンでリフレッシュした頭で取り組んでいます。まだまだ目指す地点までは遥か遠いですが、また良い報告ができるよう精進することを誓い、筆を置かせていただきます。拙文にお付き合い頂きありがとうございました。