「英語が読めても話せない」。これは、日本の英語教育に向けられてきた批判です。日本の従来の英語教育である文法中心主義の教授法ではなく、より会話中心の英語教育を導入するべきであるというのは、漠然と日本人が持っている英語教育に対する考え方ではないでしょうか?

実は、この文法中心主義と会話中心主義の英語教授法についての比較実験が1990年代にすでに行われています。その研究は、都内の小学5年生150名 対して行われました。事前に言語知能などを含む能力を検査し、能力を平等にした二つのグループに対して、それぞれ会話中心主義の教授法と文法中心主義の教授法で10日間の授業を行い、最終日に「読む」「聞く」「書く」「話す」および「文法能力」のテストを行い成果を比較するというものです。

この実験では文法中心主義と会話中心主義の英語教授法では大きな結果の違いを見出すことができました。今回は、この実験について説明いたします。

会話中心主義の英語の教授法と文法中心主義の教授法の違い

まず、文法中心主義と会話中心主義の英語教授法の違いについて説明いたします。以下、文法中心主義の教授法をグラマティカル・アプローチ、会話中心主義の教授法は、コミュニカティブ・アプローチとします。

グラマティカル・アプローチの授業の進め方

グラマティカル・アプローチでは、英語では規則を覚えることが重要であるという点を強調した上でレッスンが行われます。授業の流れは下記の通りです。

例文の導入 → 文法的説明 → 口頭によるパターンプラクティス → 筆記による確認 → ゲームによる定着

コミュニカティブ・アプローチの授業の進め方

コミュニカティブ・アプローチでは文法的説明や日本語訳は行わず、実際の場面での有意味な言語仕様をする活動が授業の大半をしめるようなカリキュラムとして構成されています。授業の流れは下記のようなものです。

前回の復習 → 質疑応答の形で基本文型の導入 → 復唱によるパターンプラクティス → 教師・生徒間での伝達活動 → ゲーム(Guessing Game)による定着活動 → 基本文型の筆記

研究は、上記のような教授法で2つのグループに対して10日間の英語の授業が行われました。

授業の効果測定

10日間の授業を終えた後、英語力を「読む」「書く」「聞く」「話す」「文法」の5つの項目で効果測定を行いました。効果測定を行うための試験は下記の通りです。

    「読む」:読み取り和訳する
    「書く」:英訳する
    「聞く」:試験官が読んだ英文を和訳する
    「話す」:英語で面接する 
    「文法」:語順の並び替え問題をとく

効果測定の結果、「読む」「書く」「文法」の三つの項目でグラマティカル・アプローチ に優位性が認められました。「聞く」「話す」では有意な結果を得ることができませんでした。

    「読む」 グラマティカル・アプローチ優位
    「書く」 グラマティカル・アプローチ優位
    「聞く」 差異が確認できない
    「話す」 差異が確認できない
    「文法」 グラマティカル・アプローチ優位

結果としては、全体的にグラマティカル・アプローチがコミュニカティブ・アプローチよりも学習効果が高いということが示されました。

学習方法の適正と個人の性格・能力について

1. 言語知能が高い人ほどグラマティカル・アプローチの効果がでる

『心はどのように遺伝するか』安藤寿康

『心はどのように遺伝するか』安藤寿康

グラマティカル・アプローチは言語知能の高い人に対して特に効果が高いことがわかりました。逆に言語知能があまり高くない人にはコミュニカティブ・アプローチが効果的です。これは、規則の理解がなくても、言語表現などのパターンを覚えれば学習が成り立つからではないかと考えられます。この辺りを踏まえた、英語教育の使い分けは意味があると考えられます。

2. コミュニカティブ・アプローチは外向性の高い人のコミュニケーション活動への意欲を高める

『英語教授法の比較研究』安藤、福永、倉八、須藤、中野、鹿毛

『英語教授法の比較研究』安藤、福永、倉八、須藤、中野、鹿毛

また安藤教授の研究では正確に応じて適切な学習方法が異なる可能性も示唆されています。外向性の高い人はコミュニカティブ・アプローチを行うことで英語によるコミュニケーションの意欲が高まるという結果が出ていますが、一方で、外向性の低い人はグラマティカル・アプローチの方が英語によるコミュニケーション意欲を高めるという結果が出ています。

サウスピークカリキュラムと学習環境について

サウスピークでは、上記の研究が示しているように英語学習に非常に効果的なグラマティカル・アプローチとコミュニカティブ・アプローチの両面の特性を利用したカリキュラムを提供しています。

まず、サウスピークのカリキュラムでは、一般の語学留学で軽視されがちなグラマティカル・アプローチをしっかりと取り入れています。そのため、一定以上の英語力のある生徒は急激に英語力を伸ばすことができています。

2015年7月から2016年6月までの349名の生徒のデータより作成

2015年7月から2016年6月までの349名の生徒のデータより作成

2015年7月〜2016年6月までの間にサウスピーク留学中にTOEIC試験を受けた349名のデータでは、TOEIC400点〜595点の中級者であれば、2ヶ月で平均200点以上の英語力が伸びるという成果が出ています。

また、グラマティカル・アプローチが苦手な英語学習の初心者でも取り組めるコミュニカティブ・アプローチによる学習カリキュラムも提供しています。複雑な文法構造が苦手な人でも、取り組める 単語テストや短文の暗記をカリキュラムに取り入れることで効果的な学習を実現しています。

2015年7月から2016年6月までの349名の生徒のデータより作成

2015年7月から2016年6月までの349名の生徒のデータより作成

詳しい初心者への取り組みはこちらに記載しておりますが、TOEIC395点以下の初心者の場合でも、3ヶ月で平均200点以上英語力が伸びるという結果がでています。

また、英語のコミュニケーション意欲を高める取り組みとしては、昼休みの自由英会話制度があります。下記の動画を見ていただければわかるように、お昼休みは英語講師と同じテーブルで食事を行い英会話が自由に行える取り組みを行っています。

英語学習にエビデンスを

教育経済学者の中室牧子さんは、教育という分野は誰もが強い興味を持つ分野であるにもかかわらず、教育効果が科学的に十分に検証されていないと著書『「学力」の経済学』の中で述べています。実際に日本人の多くが時間とお金を投資している英語学習、英語留学の分野においても、教育効果の明示的な検証はほとんど行われておりません。

サウスピークでは、今回紹介したような英語学習、英語教育に関する研究成果や過去の卒業生のデータに基づいた、客観的、科学的な教育に取り組んで参ります。現在も語学学校では唯一、全生徒の外部試験の結果を公開しておりますが、どのようにすれば短期的に、また低コストで効果的な英語学習ができるのかを日々探求しサービスの改善を行って参ります。