以前「韓国の英語教育|韓国人の英語力はなぜ伸びたか」で、韓国では早期から英語教育が行われていることや韓国人の2017年TOEIC スコア平均が日本人より150点以上も高いということなどについてお話しました。

15年ほど前までは日本と同様に英語が苦手とされていた韓国でしたが、近年英語力がぐんと向上しています。 

今回の記事はそれに関連して、現在、韓国社会が高い英語力を持つグローバル人材を排出していること、そしてその背景について詳しくまとめました。

【この記事の目次】
1.韓国におけるTOEIC試験の歴史|世界的企業がIPテストを利用
2.韓国の平均TOEICスコアは日本の150点以上
3.韓国社会とグローバル人材|TOEIC試験を賢く活用すべし

韓国におけるTOEIC試験の歴史|世界的企業がIPテストを利用

ではまず、TOEIC の誕生と韓国での歴史を確認しましょう。

そもそもTOEIC試験は日本人の発案で生まれたものです。1970年代に日本企業の海外進出が進む中で、英語によるビジネスコミュニケーションへの意識が高まりました。その結果、TOEICテストが考案されたのです。

その案をもとにアメリカのETS(Educational Testing Service)がテストプログラムを開発し、1979年に第1回TOEIC公開テストが実施されました。そして1982年には韓国でもTOEIC試験が始まります。

当初韓国ではIPテストがほとんどで、サムスングループやヒュンダイグループなどの企業グループが利用していました。その後受験者数は順調に伸び、2013年時点のデータによると年間受験者数は200万人にのぼっています
参考
TOEIC30年の軌跡|TOEIC Newsletter|IIBC
TOEIC Programの理念 -TOEIC Programの歴史-

韓国の平均TOEICスコアは日本の150点以上

では、そんな韓国のTOEIC事情を見ていきましょう。

THE KOREA TIMES』によると、韓国における2013年のTOEIC試験受験者数は200万人以上。韓国の人口が5,100万人程度であることを考えると、その受験者数の多さがわかります。

韓国人の平均TOEIC L&Rスコアは以下のグラフの通りです。

韓国と日本の平均TOEIC L&Rテストスコア変遷

2017年こそ減少していますが、2012年以降毎年スコアが伸びており、特に2015年は前年に比べて24点スコアアップしています。

そんな韓国ですが、TOEIC試験だけで日本を上回っているのではありません。他の主要な英語運用能力を測る試験でも同様です。

世界最大規模の語学学校EF Education Firstが実施した2018年のEF英語能力指数世界ランキングでは、韓国は88カ国中31位、日本は49位でした。

また、2017年のTOEFL試験(150か国、10,000以上の機関で利用されている、英語を母語としない人の英語コミュニケーション力を測るテスト。英語能力の証明、入学や推薦入学、奨学金、卒業の基準として利用される)受験者のスコア平均においても、平均スコア83の韓国に対して日本は71と韓国に及びませんでした

同様に2017年のIELTS(世界で年間約300万人が受験し、10,000以上の教育・国際機関、企業が認定する英語能力テスト。海外移住や入学における審査などの際に活用される)受験者のスコア平均も韓国5.97、日本は5.81とこちらも及びませんでした
参考
TOEICとTOEFLの違いとは?|TOEICとTOEFLはどちらが良いの?
TOEFL vs IELTS TOEFLとIELTsはどう違うのか?またどちらの試験を受けるべきなのか?

多くの人がTOEICを指標として英語力を証明する韓国ですが、TOEIC以外の英語能力試験・検定でも日本より良い成績を残していることがわかります。

韓国社会とグローバル人材|TOEIC試験を賢く活用すべし

韓国に対して「受験大国」といったイメージを持っている方も多いはず。 韓国ではより良い就職先を得てキャリア形成を行うため、受験や英語学習に非常に力が入っているのです。

特に1997年の通貨危機を境に国民に広がった危機感もあって、経済のグローバル化が進み、それに伴って英語教育に対する意識が高まってきました。トップ企業を中心に英語公用語化の動きが進んでいます。

例えば、SK Globalは1999年に3年以内の社内の文書などの公用語化を英語化することを宣言しました。日本では2010年に楽天株式会社が社内英語公用語化移行開始を宣言したことを考えると、韓国では日本よりも企業の社内英語公用語化への意識が早くから高まっていたとわかります。
韓国の英語教育|韓国人の英語力はなぜ伸びたか

そのため韓国では高い英語力をもつ人材が求められるようになり、トップ企業の採用にあたってはまず間違いなく高い英語力が問われまず。より高い英語力がキャリア形成につながるのです。

隣国韓国はサムスングループヒュンダイグループなどの大企業がTOEIC IPテスト利用を通じて社員の英語力を向上させ、韓国社会全体としても高い英語力を持つ人材への需要が高まり、その結果平均TOEICスコアがぐんと向上しました。

TOEIC試験に関して様々な意見があり、TOEIC以外の英語能力試験・検定を推す声もあります。ですが、TOEIC大国韓国が英語力向上に成功していること、また多くの企業や機関、学校でTOEIC試験が英語力の基準として利用されていることを考えると、TOEIC試験を無価値と切り捨ててしまうのはもったいないことです。

日本で広く活用され、大きな影響力を持っているTOEIC試験ですから、よりレベルの高い試験を受けるにしろ、手始めにTOEIC試験を受験してスコアを獲得しておくことをおすすめします。TOEICは、日本で英語力を評価してもらうためにまず押さえておくべき試験と言えるでしょう。

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