左 山田先生 右 柴田 @HAL_J

「英語学習初心者が気をつけるべきこと」と「フィリピン・セブ島留学の現状」について山田暢彦先生と語学学校サウスピークのカリキュラム作成の責任者である柴田 @HAL_J が対談しました。

この記事は下記の記事の続編です。
山田暢彦先生インタビュー(1) 『中学英語をひとつひとつわかりやすく。』40万部越えベストセラー本を執筆した理由
山田暢彦先生インタビュー(2) 瞬間英作文を大きく発展させた 『英語のスピーキングが驚くほど上達する NOBU式トレーニング』
山田暢彦先生インタビュー(3) 日本語と英語を話すバイリンガルとしての幼少期。そして、大学卒業後に独立し、著書を出版するまでの苦労の道のり

語学学校サウスピークが始まるそもそものきっかけ

(山田先生)逆に私から質問をさせてください。なぜフィリピン留学を始められたのですか?

(柴田 @HAL_J)もともとフィリピン留学は韓国人向けに流行しており、年間10万人の韓国人が英語学習目的でフィリピンに入学していると言われています。現在、日本人のフィリピン留学は約4万人まで増えていると言われています。しかし、フィリピンにある語学学校には今でもまともなカリキュラムがほとんど全ての学校に有りません。

そのためサウスピークのように学習成果を残せて、かつその結果を公開している語学学校は他にも一つも有りません。一部のごく優秀な上位5%の生徒紹介だけしている語学学校があるだけです。

学習カリキュラムがちゃんとした語学学校が無いので、そういう「ちゃんとした学校」があっても良いとだろうと思い、サウスピークを始めました。

一例として、サウスピークでは、初級の学生はほぼ全員山田先生の著書『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』を使用しています。一方、他の語学学校では初級者でも英語で解説された教材を使って、英文法を学びます。

(山田先生)自分の著書が日本以外の国で、フィリピン・セブ島で使用されていることを嬉しく思います。

最初に英文法をしっかりと学習することは、すでに述べましたが、重要なことだと思います。基礎的な英文法を理解しておかないと、英語を学習する上で先がないんです。中学英語とはそういうものだと思います。1からちゃんと取り組めるのは良いですね。

初心者こそがインプット学習が必要。インプットがないとアウトプットができない。

(柴田 @HAL_J)サウスピークでは、マンツーマンレッスンで『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』を使用しています。また、レッスンの予習・復習の学習において、音読10回、リスニング10回を推奨しています。

そして、初級レベルの参考書を9冊(中学・高校の英単語と英文法の本9冊)終わらせて、そこからTOEIC参考書などの中級レベルの参考書に移ります。初級者にはインプット重視の教え方をしています。

(山田先生)知識をしっかりと蓄積させるインプット学習を重視するのは、とても良いことだと思います。一般的にアウトプットの方が楽しいのですが、インプット学習を最初にしないと、そもそも話すための素材がありませんからね。

(柴田 @HAL_J)サウスピークでは、インプットとアウトプットの学習量を、1:1でイメージしています。1時間予習して、1時間レッスンするような時間の使い方です。

留学期間中は、このレッスンのサイクルをその場で完結することができます。家事をする必要もないので、3か月の留学で700時間、1日10時間を勉強することができます。

(山田先生)先日、TRYの合宿で講師として行ってきたのですが、夏の勉強合宿で1日10時間勉強したのですが、良かったですね。セミナーだと1回あたりがせいぜい2?3時間程度で、何となく理解した気になっても、習熟というレベルまでには持っていけないです。これを5日続けて10時間やりました。

日本での合宿はイマージョン教育*ですが、フィリピン留学も他の国で英語を学ぶのですから当然イマージョン教育ですね。

*イマージョン教育。英語の名詞の immersion「浸すこと」から来ている、外国語の教育方法。外国語を学習する際に、その言語にできるだけ浸る環境を作り、「外国語を学ぶ、のではなく、外国で様々なことを学習すること」を目指す教育プログラムを目指すもの。

初心者こそがインプット学習が必要です。そして、初心者が一番苦しい時期です。ただ、インプットがないとアウトプットができないので、どうしても一定の知識を入れなければいけない。モチベーションをどう維持するかを含めて苦しいかと思いますが、やりぬいて下さい。

初心者は「深く」「速く」を意識してインプット学習を行うべし

(柴田 @HAL_J)フィリピン留学は、マンツーマンレッスンのみのアウトプット偏重の語学学校が多いです。2-3週間は楽しいのですが、そこから伸び悩む人が多いです。インプット学習をすでに終えている基礎力がある人以外は、伸び悩みます。

「フィリピンで毎日マンツーマンレッスンで6?8時間も英語で話していれば、自習学習をしなくても英語を話せるようになる」と思っている人が多いですが、実はこれは大きな誤りだと考えています。

(山田先生)アウトプット学習に惹かれるのは、それまでに受けたインプット中心の学習に問題があったためだと思います。中学校と高校の6年間英語をやりますが、インプットの質に問題があります。

端的にいって、現行の学校教育の多くにおいては、インプット学習の質が悪いことです。あるべきインプットは、英文を読んだり聞いたりして、情報として取り入れること。つまり、情報(内容)と言語(語彙・文法・発音)が結びついて頭に入ることです。

しかし、学校教育では、英文法の話ばかりだったり、文章を訳す技術を教えるなどで、情報として英語に触れる感じではありません。こうした学習を6年間やっても、実質的な英語の習得につながるインプットは少ないのです。上質な、意味のある情報と一緒に英語の知識を入れるようにしないと、意思疎通の手段としての英語は身につけられません。

(柴田 @HAL_J)学校で先生が講義するだけ、生徒は板書を丸写しするだけというのは質の悪いインプットだなと私も考えています。

(山田先生)初級者は『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』のような文法書で、自分のレベルに合った学習することが重要です。たくさんの教材に手を出すのではなく、1つの教材を徹底的にやり込むことが重要です。初級者は往々にして、1つのことを徹底的にやるのが苦手で、難しいことを早くやりたがります。同じ教材を深くやり込みましょう。

効果的な学習の1つに、スピードを意識した学習があります。やさしいことをより効果的にやろう、やさしい内容をより高い習熟度で身につけようという練習です。習熟度は、スピードと発音をで測ることができます。たとえば、練習問題を一通り解けるようになったら、今度はいかに早く解けるか、また良い発音ができるようになるか、無意識に瞬間的に口に出せるようになるか、といった別の視点を持って復習に取り組むのがお勧めです。特に習熟度を具体的に数値化する、問題を解く時間を測るなどすると学生は燃えますね。

発音を自然に出来るか、問題を素早く解けるか、流暢に音読できるか、といった事を意識しながら同じ教材を繰り返して下さい。同じ教材の繰り返し学習であっても、学ぶところは多いです。

英語を英語のまま学ぶことは効果的か

(柴田 @HAL_J)フィリピン留学の多くの語学学校では、『英語で書かれた教材で英語のままに英文法を習う』という方式を採用している語学学校が有ります。Native English Speakerと同じやり方で英語を学ぶことに関してはどのように考えますか。

(山田先生)英語を英語のままで学ぶ学習方法は、日本人の成人している初中級者にとっては、最善の方法ではないと思います。

日本語と英語は、最も言語の特徴がかけ離れた言語の1つだと言われます。ですので、普通の日本人が英文法を英語のままで学ぶことは、正確な理解を重視したインプット学習の観点から非効率的だと考えます。だからこそ、日本人(特に初中級者)が英語学習をする際には、日本語で解説されている英語参考書で学ぶことを私は肯定しています。

日本語と英語の違いを正しく理解するためにも、特に英文法は日本語で学ぶのが良いと思います。

そのうえで英語を学びます。日本語の参考書を使用して上質な基礎知識を習得して、その知識を元に英文を読みこみ、理解する。そして、さらにたくさんの英文を読み込む。この学習サイクルを繰り返すことが必要です。

英会話レッスンを効果的に行う方法

(柴田 @HAL_J)サウスピークでは、『英語のスピーキングが驚くほど上達する NOBU式トレーニング』を初心者向け英会話レッスンで採用予定です。もし何か有効なアイデアがあれば教えていただけますか。 

(山田先生)時間制限を入れると面白くなります。英会話でも、時間制限があると全く違うプレッシャーがかかります。これを再現するのは効果的だと思います。

他にも英文読解の試験では、Words per minute (1分間の単語数)を測って、1分で170語を読めるのを標準にする、などの時間制限が有効です。例えば、「この文章だと10秒で読みましょう」など、基準を設定して読めるように指導すると、たとえ最初は無理だと思われても、学生はしばらく練習して出来るようになるものですね。

挑戦しがいのある目標を設定してあげるのは教師としての大きな役割です。数字で設定した目標を乗り越えることで、成長したことを実感出来ます。

(柴田 @HAL_J)「5秒制限」という条件を加えた英会話レッスンは面白そうですね。

(山田先生)「制限時間付き英会話」は燃えますよ。言葉は内容だけでなく、瞬発力も重要です。英語学習者の方は、教材の難易度をあげてすぐ次の難しいものを取り組むだけでなく、同じレベル内で瞬発力・流暢さを鍛える学習に取り組むのもお勧めです。

いわゆる学校の授業では、そういった瞬発力を測る試験はなく、難しい問題をある程度の時間をかけて解く形式が多いですね。

(柴田 @HAL_J)そうですね、学校の試験では瞬発力や流暢さを測る試験は稀ですね。 

(山田先生)他にも、発音学習にももっとこだわっても良いと思っています。発音は身体を使うものなので、「テニスで良いショットを決められた」「カラオケで上手に歌えた」と同じように、身体を使った快感がありますね。上手にできるほど嬉しいです。そのため、私は自身のセミナーでは、必ず発音を教えるようにしています。コツを教えると上手になりますし、英語学習のやる気につながります。

「イングリッシュ」というカタカナ発音ではなく、「English」と発音できたときの、心理的、生理的な喜びってありますよね。

最後に、英語学習者向けに一言

(山田先生)英語を習得するのは時間がかかりますが、勉強した分だけ必ず上達します。「昨日よりも2秒速く音読できるようになった」「単語のアクセントが英語らしくなってきた」「会話が少し続くようになった」など、是非そうした「半歩ずつの前進」を大切にしてくださいね。そこにこそ、学習の大きな喜びや継続の秘訣があると思います。

英語は、誰のためでもなく、また誰と比べることもなく、あくまでも自分のビジョンや幸せのために。後悔のないよう、ぜひ納得のいくまで追求してください!

山田先生の参考書3冊
山田暢彦先生に“No Regrets! (後悔なんてするな!)”というサインをいただきました。