安河内哲也先生・連続インタビュー1 「TOEIC試験で点数が伸び悩んでいる人は英文法の学習をすべし」の続きの記事です。

サウスピーク訪問時に生徒からのサイン要望に応じる安河内先生

サウスピーク訪問時に生徒からのサイン要望に応じる安河内先生

@HAL_J 話題をここで変えますが、TOEIC LR試験で200点台,300点台の英語が苦手な人達がサウスピークには一定数来ています。サウスピークの生徒の2割くらいがこの英語が苦手な人達です。彼らはどのように学習を進めれば良いでしょうか。

(安河内先生) まず前提として、TOEIC LR試験では300点以下の点数帯の人達の実力はあまり正確に測れません。得点帯としては300から800点の人達が主な対象です。この得点に満たない人、またこの得点を超える人の英語力は、なかなか正確には測れません。そしてまた、TOEIC LR試験で一番正確に英語力を測れるのは400から700点の領域です。

だからTOEIC LR 950点も980点の人も実はあまり英語力は変わりません。850点と900点もあまり変わりません。この点数帯になってくると、あとはTOEIC LR試験対策をしているか、していないかの違いになってきます。この得点帯の人はTOEIC LR試験以外を目標に設定した方が良いです。

ここで初心者の方の話に戻しますが、TOEIC LR試験の点数を上げることと、英語が出来るようになることは別物です。例えば、TOEIC LR 200点の人がTOEIC LR試験向けのテクニックを覚えて400点に点数が上がっても、それは英語力が上がったことを意味していません。

TOEIC LR試験が400点未満の人には、初・中級英語学習者向けの「TOEIC Bridge試験」がお勧めです。400点を取れない人達にTOEIC LR試験向けの勉強をやらせても、効果が薄いし、それほど英語が身につくものでもありません。

【補足】サウスピークでも現在400点未満の人向けのレベル診断ではTOEIC Bridge試験を利用しています。

日本では企業の人事部の都合で英語ができない人達もTOEIC LR試験を一斉に受験させられることが有ります。けれど、200点台、300点台の人達にはこれは良くないです。難しいTOEIC LR試験を受けさせたからといって、英語が出来る様になるわけではありません。かえって英語が嫌いになる恐れがあります。

英語が本当に苦手な人達は「中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。 」といった教材を使ってまずは英文法の学習をし、その後に音読学習をして基礎固めをした方が良いです。いきなりTOEIC LR試験対策に行くのではなく、まずは基礎固めをしましょう。

サウスピーク卒業生のTaichiさん、中学1年生が学ぶ英文法から学び直しました。

(中学1年生レベルから学び直した、留学体験談)「目的意識、動機、学習環境」TOEIC200点レベルから690点まで向上したTaichiさんが語る、「英語力を上げるための3つの要素」

(安河内先生) 「短期間でTOEIC試験200点の人が、TOEIC LR試験対策に特化して、点数を上げる」というのは副作用が大きすぎるので、この学習法はお勧めしません。

もしTOEIC LR試験の点数をあげるだけなら、TOEIC LR試験公式問題集を研究し、試験テクニックを学んで、例えば時間配分の仕方を学んだりする。そしてその上で公式問題で練習をして、圧倒的に多い問題量と難しさに慣れさせる。見たことがあるもの、知っているものだけをどんどんと解かせる。TOEIC LR試験頻出英単語をゴリゴリと暗記させる。接尾・接頭辞の判別、現在分詞・過去分詞の違いなど、それさえやっていればTOEIC LR試験の問題が解けるようになるものをやらせる。勉強はTOEIC LR試験対策のみに絞る。つまりTOEIC LR試験の点数を上げるだけであれば、英会話の授業も実は意味ないってことになります。

ただし、こういう風に「聴く・読むという”2技能”のTOEIC LR試験一本で社員の英語力を測定する」という手段が最終目的となっている企業・学校は根本的に間違っているから将来性はないと思います。ですので、そんな組織はこちらから見限るのも一案です。

TOEIC LR試験は必ずしも万能の試験では有りません。TOEIC LR試験で400点未満の人達のモチベーションを上げるには、答えになっていないかもしれないけれど、TOEIC LR試験を受けさせないことが一番かもしれません。「君にはTOEIC LR試験はまだ関係ないから、今は楽しく英会話をやりなさい」というのが良いのかもしれません。

日本の英語が出来ない人が現在直面している構造的な問題は、いきなり英語学習初心者にとって難易度の高いTOEIC LR試験を受けさせられて、しかも結果を出さなければいけないことです。

TOEIC LR試験に向いていない人、400点を取れない人達は「楽しみ」の要素を加えて英語学習をするのがお勧めです。例えば、勉強の参考書ではなく、洋楽の歌を歌うとか。試験対策にばかり片寄ってしまうと、英語学習に対するアレルギーが強くなりすぎる恐れが有る。だから楽しい要素を入れるようにしましょう。

それぞれの学習者にとって「面白い」と思える要素を学習に加えていくのが良いです。

@HAL_J  私自身も経験しましたが、結局留学後に帰ってきて日本企業で評価されるのはTOEIC LR試験の点数なんですよね。外国で異文化を経験してきても日本の人事部が評価できないという課題が有ります。

(安河内先生) 外国への留学・滞在経験が有り、日本以外の文化・価値観を理解している。けれど、日本企業の人事部ではそれを評価できない。評価できるのはTOEIC LR試験の点数だけ。これが本当は間違っています。

(次の記事) 安河内哲也先生・連続インタビュー3 「語学留学で初心者・中級者にとってフィリピンは良い国だと思います。」