安河内哲也先生・連続インタビュー2 「TOEIC試験で400点が取得出来ない人へのアドバイス」の続きの記事です。

現在フィリピン留学は長時間のマンツーマンレッスンで注目を集めています。

長時間のマンツーマンレッスンで注目を集めているフィリピン留学。主な留学先であるフィリピン・セブ島に4日間滞在された際の感想についてお聞きしました。

(安河内先生) フィリピン・セブ島は英語が第2言語(ESL)として使われています。だから必ずしも皆が皆英語が上手いわけじゃない。とはいえフィリピン人は日本人よりもはるかに英語が上手い。

@HAL_J 補足 : ハリウッド映画の英語を字幕なしでほぼ全部理解できるフィリピン人は、適切な教育を受けた上位2割。

(安河内先生) すごく面白いなと思ったのは、フィリピンの人が難しい英単語を使わないことです。これは全体の語彙レベルが低いからです。

全体の語彙レベルが低い、というのはEnglish as a Second Language(第2言語としての英語)では当たり前です。簡単な言葉使って意思疎通する、現に英語を第2言語(ESL)として使っている国々や英語を外国語(EFL, English as a Foreign Lauguage)として使っている国は世界に多く有ります。

完全に英語が上手で教養ある米国人・英国人を100としたら、フィリピン人の英語力は40から60くらい、そして日本人は10くらいででしょう。日本人でフィリピン人と同じくらいに英語が上手ければ日本人ビジネスマンとしては一流です。普通の日本人がビジネスの現場で英語を使うのであれば、フィリピン人くらいの英語を第2言語(ESL)として使えるくらいが上限だと思います。日本人に目指すべき目標を示してくるのだから、そういう意味でフィリピンで英語を学ぶのは良い。

例えば新聞を見てみても、アメリカのワシントン・ポスト紙を読めない人でも、フィリピンの新聞なら読めるでしょう。だからちょうど日本人の英語学習者のレベルに合っているんですよ、フィリピンという国は。初心者・中級者にとってフィリピンは良い国だと思います。初級者・中級者にはアメリカやイギリスはきついです。もちろん上級者には、アメリカ・イギリスなどをお勧めします。

アメリカ人、イギリス人の英語は相手が何を言っているか分からなくて反応出来ないかもしれません。TOEIC LR試験で600点の水準に到達していない人がアメリカに行っても何もせずに帰ってくるということがよく有る話です。

けれど、フィリピン人の場合だと簡単な英語を使ってくれるから英語で反応し易い。中級者以下はフィリピン英語の方が入りやすいと思います。

@HAL_J) 安河内先生は留学体験失敗談をこれまでに聞かれたことは有りますか。

(安河内先生) 留学で失敗した人はときにその事を隠します。例えば、みんなで飲みに行ったりして、英語でワイワイと話したりする。その中で全然英語が話せない人もいて、「ああ、この人は英語が苦手なんだな」って思っていても、『実は1年間留学していました…』っていう人がけっこういます。

一昔前に留学ブームがありましたが、あのとき留学した人達も9割くらいは英語を話せるようにならないまま帰ってきていると思います。「日本人の留学生のほとんどが英語を話せないまま帰ってくる」なんて話はよく聞いた話です。今の30代後半、40代は留学ブームに乗って留学した人が多いです。でも、1年行っても英語がモノにならなかった人は多いです。

ある人のハワイ留学体験談によると、当時150人くらい生徒が当時居て、10人くらいは途中で帰ってしまいました。そして結局その中で今英語を使って仕事している人達は1割しかいません。今でも使える人を含めても2割(約30人)しかいません。

一昔前の留学ブーム(今の30代後半、40代は留学ブーム)は、日本人達でまとまっていて、日本での生活を現地に持っていて、しかも留学しても日本人達で群れていた。これで上手く行くわけはありませんでした。

アメリカへの語学留学だと10人以上の集団授業が基本です。人件費が高いからどうしても集団授業が基本になります。時には丸暗記してプレゼンしたりしますが、意外と英語を使う時間が少ないです。

その点、フィリピン留学は良いです。フィリピン人講師の給料が安いから、一日中マンツーマンレッスンが出来る。英語を使う時間が長いのが良いです。

サウスピークのマンツーマンレッスン用個室に入られた安河内先生

フィリピン留学名物の狭いマンツーマンレッスン用個室に入られた安河内先生

@HAL_J) 留学時に必要になる英会話の瞬発力はどうやって鍛えれば良いでしょうか。

(安河内先生) 英会話に必要な瞬発力は実はどんな教材を使っていても鍛えることは出来ます。使用している教材の英文を暗唱して、英語でパッと言える段階まで読みこめば良いです。瞬間英作文にかぎらず、この暗唱学習法は出来ます。

@HAL_J) 現在年間10万人を超える韓国人がフィリピン留学をしています。今後、日本の大手英会話スクールや大手予備校がフィリピン留学事業に取り組む可能性はどれくらいあると思いますか。

(安河内先生) 日本の大手英会話スクールや大手予備校がフィリピン留学事業に取り組む可能性は今のところ低いかもしれません。これは日本人特有の『欧米コンプレックス』があるからです。「アメリカ英語とイギリス英語は本物、フィリピン英語は偽物」というようなコンプレックスがあるから欧米留学がこれからも当分は主流にあると思います。

語学留学で最初に選ぶのは欧米や英国。フィリピン留学はあくまで二番手以降。もし仮にどこかの予備校がフィリピン留学を最初の選択肢として提案したら、『なんでフィリピンなんか選ぶの』という話がよく分かっていない父母から出てくる可能性が高いです。また、もし日本にある大手英会話スクールが「うちもフィリピン留学やります!」というとお客さんのウケが悪くなる恐れが有ります。日本は、世界での英語の使用の実情がよく分かっていない人が多いし、欧米コンプレックスが強いです。

あと、日本では英語を学ぶ必要性も実は低いです。だから中国や韓国の切羽詰まった英語学習状況とは違います。日本はEFL環境(English as Foreign Language, 外国語として英語を使っている)です。だから日本国内の日常会話で英語を使う必要はあまり有りません。今、日本で必要なのはTOEIC LR試験の点数です。

それに加えて欧米コンプレックスが強く、みな中途半場な英語を使いたがりません。アメリカ英語じゃないと格好悪い、というようなコンプレックスです。日本ではアメリカ人みたいな英語じゃないと「ダサい」と思われます。でも、これは結局「日本が英語を使わなくても良い国だから」こうなっています。一方、フィリピンという国では違います。そこでは英語はあくまで『実用的な道具』として使われている。発音の細かい違いに日本ほどこだわっている人はいません。

@HAL_J) 現時点で日本で英語を使う必要性はないということでしょうか。

(安河内先生) 現時点では必要性は少ないのかもしれません。日本国内では英語はあくまで”外国語”に過ぎませんから。日本は人口が1億2千万もいて、内需が非常に大きく、独立した経済圏を形成していますから。あくまでも、現状での話ですが。

日本では貿易や外国の取引において得られる経済規模よりも、国内の経済規模の方が大きいです。例えばそれが「2:8」の割合だとします。そして実際に英語を使う必要が有るのはその『2』の中で、さらに、対外交渉をする一部の人だけ。現状はこうなっています。

けれど、これからは日本の人口が減っていき、それに合わせて内需も減っていきます。もし今のままの生活水準を維持したいのであれば、これまでよりも対外貿易に依存する割合を増やす必要が有ります。日本全体が貧しくなっても良い、生活水準を落としても良い、っていうのなら話は別ですが。

人口減少に合わせてみんなで貧しくなりましょう、という選択肢をあえて日本人が選ぶとは考えにくいので、今後はグローバルにビジネスをしていく必要が有ります。現在はこれまでに蓄えた富で日本は豊かさを維持出来ていますが。

けれど、今から10年もしたら、今と同じ生活水準、豊かな暮らしを維持する事が難しくなるかもしれません。その時はもう英語を使って外とやっていくことが必要となってくるでしょう。企業のトップの人達はその時に備えて今から社員に英語を身につけさせなきゃいけない、と考えています。

(次の記事)安河内哲也先生・連続インタビュー4 「TOEIC LR試験で就職活動を乗りきれるのか。そしてTOEIC試験の今後に関して」